どんど焼きは、門松やしめ縄、お守りなどを竹で組んだやぐらに積み上げて燃やす小正月(こしょうがつ)の伝統行事。諸説あるが、五穀豊穣や無病息災を願って1月15日頃に各地で行われる。
つくば市小田地区では、子どもの見守りなどを目的に地元有志で発足した「二十日会(はつかかい)」によって1980年代から毎年営まれてきた。
きっかけは、会の旅行で出かけた栃木県のとある町の河川敷で見たどんど焼きの景色。
「昔は各家庭で正月の飾り物を燃やしていたけど縁起物を個人で燃やすのもどうかと思っていたし、それ以上に住民の交流の場になればという期待もあった」と発足時からの会員である河合満雄さん(73)は振り返る。
当初は小田の住民だけが対象だったが、10年ほど前からは石岡市や守谷市などつくば市外からの参加者も増え、どんど焼きは小田の小正月に欠かせない風物に―。
だがその一方で、会員の高齢化などを理由に継続の難しさを感じるようにもなっていった。
「当初20人だった仲間も年々減っていき3年前には3人になってしまったが、どうしても絶やしたくなかった。70歳を過ぎ、少ない人数で細々と取り組んできた」と河合さんは30年以上に渡って築いてきた伝統への思いを口にする。
「でもここら辺でバトンタッチだな」
そのバトンを引き継いだのが小田出身の小出卓哉さん(29)。
茨城の伝統文化の継承と地域活性化を目的に活動する団体「七色武士(なないろぶし)」を結成し、2007年には「常世の國まつり」を開催するなど根っからの祭り好き。
「通っていた小田小学校の運動場で行われていた時期もあり、子どもの頃から親しんだイベントです。自分たちの手でしっかり受け継ぎたい」。
同級生の宮川透さん(29)にも声を掛け、5年前から河合さんら二十日会のメンバーとどんど焼きの運営に携わるようになった。
「当日までいろいろ準備することがあって、予想以上に大変だった」と2人は口をそろえる。
約10mの高さのやぐらを組むために必要な竹は40本で、1本1本切り出し運搬するだけでも重労働。
さらに集めた竹は高所作業車を使って10人がかりで組み立てるほか、正月飾りの回収や餅を刺すシノダケの準備、関係各所へのあいさつ回りなどやるべきことは多岐に渡る。
「そりゃ好きじゃないと続かないよ。好きな気持ちと、地域のために動きたいという思いが原動力」と話す河合さんは運営のバトンを渡しつつも「体が動く間は微力ながら協力したい」と後進の後押しを誓う。
小出さんは「30年以上続いた文化の灯を絶やすことなく継承し、次の世代にもバトンをつなげられるようにしたい。正月の風物であるどんど焼きを残し、さらに行事を通して小田を知ってもらうきっかけになれば」と力を込める。
1月15日、34回目となるどんど焼きの炎が、小田の空に立ち上がる―。
午前10時〜午後4時半(火入れは3時半)。小雨決行。入場無料。
当日の持ち込みは3時まで受け付け。プラスチックや写真などは不可。
■問い合わせ
TEL.070-8466-3663/七色武士 ※七色武士ではメンバーを募集中