Joyoliving News : 2020年02月08日掲載

「誰一人取り残さない」部活動〜ある小規模中学の挑戦

今月末までCF実施中

生徒数減少で部活動運営の危機にあったつくば市立茎崎中学校で始まった改革案が、全国の自治体から注目を集めている。生徒が会費を負担し地域のプロチームによる専門的指導を受けられるもので、目的は教育の質の向上。今月末までクラウドファンディング(CF)を実施し事業の継続を訴えている。


「戦後70年続いた公教育フレームを変えるべき」と話す茎崎中の八重樫通校長=1月24日

茎崎地区文化・スポーツクラブ(KCSC)は部活動とは別に月2~3回開かれ、ハンドボール、サッカー、バレーボール、テニス、卓球、吹奏楽の6種目に40人が参加。生徒から集めた月1500円の会費を講師への謝礼や地域と連携した事務局の人件費に充てている。茎崎地区の小学生も参加でき、同様の取り組みを始めた近隣中学とは互いのクラブへの行き来もできる。

週末、教員が指導に関わらない男子ハンドボールクラブの練習が行われた。昨年市総体優勝と県大会3位に導いたのはつくばFCの植村和博さん(46)。8年生で主将の杉山友輝さん(14)は「コーチの練習は楽しくてためになる。笑顔でチームをまとめることを教わった」と話す。昨年7月のアンケートでは生徒の約8割が取り組みに賛成し、教職員の時間外在校時間も前年比で一月あたり約40時間減った。

指導の限界

最盛期1000人超だった茎崎中の生徒数は現在197人。一昨年には野球部が廃部に、来年度入部希望者がゼロならばサッカー部もなくなる予定。学級減に伴い、未経験種目の顧問となるケースも増加。「私は3世代同居だったから顧問を務められたが、今は多くの教員が核家族ですから」と、同校の部活動改革を主導した校長の八重樫通さん(58)。

きっかけは国の運動部活動の在り方に関するガイドライン。生徒も教師も「自発的活動」とされてきた部活動を地域のスポーツ団体と連携し、学校と地域が協働して環境整備を進めるというもの。県教委による運動部活動の原則朝練禁止や時短化などを受け、同校では平日の部活動を市教委案の週4日からさらに1日減。地域の協力を得て一昨年秋にクラブを設立した。

たった一人のため


KCSCに参加する生徒。楽しく専門的指導を受けられる

ある日の吹奏楽クラブの練習。「うまくなりたい」と一人で入った生徒の姿に「誰一人取り残さない」と始まったクラブの原点を見たような気がして「胸が詰まった」と八重樫さん。同じく当初参加者1人だった卓球クラブの生徒は昨年市の大会で見事ダブルス3位に。「試合で勝つことは目標ですが、部活を通して何を学ぶかは人それぞれ。生徒一人ひとりの『機会』を奪わないことが大切です」

現在、KCSCのような取り組みは谷田部東中や高崎中など市内3校で行われているが、最小規模校の茎崎中には課題が山積。市民団体としてクラブが受けた市のアイラブつくば事業補助金は来年度まで、県教委やスポーツ庁による「運動部活動運営の工夫・改善事業」補助金は文化部には使えないため、吹奏楽部のコマ数は運動部に比べて少ない。

活動費ねん出の手段として大胆な腹案もある。企業と連携し校内に自販機を設置して売り上げの一部を活動資に充て、熱中症対策や避難所開設時の飲料水確保などにも役立てるというもの。八重樫さんは「これまでの公教育が限界にきている。教育の質を保つための部活動改革を広めていきたい」と話している。

KCSCでは、今後3年間の運営資金を募るクラウドファンディングを2月28日(金)まで実施している。詳細は「小さな学校だって文化・スポーツ活動がしたい!」で検索。

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