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2019年6月17日(月)

どこでも“満天の星空”

科学出前活動「移動プラネタリウム」好評

世界最大級のプラネタリウムドームを有するつくばエキスポセンターが“満天の星空"を各地に届けている。幼稚園や小学校に出向く「科学出前活動」の一環で、中に入って星空観察ができるドームスクリーンは手作り。知識と技術を駆使した天体ショーで、月と星の学習を分かりやすく伝えている。


右から担当学芸員の菊川真以さん、萩原さん、現同財団運営部参事の加藤升さん、現役時代はダイヤモンド研究に従事したボランティア・インストラクターの神田久生さん

つくばエキスポセンターの科学出前活動は、科学技術の普及・啓発を目的に2008年にスタート。台風の発生実験や水ロケット、シャボン玉ショー、空気砲など出前メニューは科学の「不思議」を楽しみながら理解できる実験や工作が目白押しで、同館を運営する(公財)つくば科学万博記念財団職員ほか定年退職した理科教員や研究者など、科学を専門とする約15人のボランティア・インストラクターが指導に当たっている。

地域の幼稚園や学校からの要請は年々増加。昨年度は約130カ所で授業を実施し、一番人気が「移動プラネタリウム」だった。

星空を「出前」


直径10メートルのドームは迫力満点。たたむと大人一人で持ち運べる(馴馬台小学校体育館)

5月下旬、龍ケ崎市立馴馬台小学校体育館。平台子供会の依頼で春の星座や惑星について解説した。この日は直径10メートル(定員120人)のドームスクリーンを設置。巨大な白い半球状の物体が小さな送風機1台で膨らんでいく様子に70人の参加親子が目を見張った。

ドーム内への入場後、暗闇に目が慣れた頃合いを見計らって星空投影機を点灯すると220万個の星が一斉に浮かび、「わぁ」と歓声が上がった。「この瞬間がうれしくてね。苦労したかいがありますよ」と、設計・製作を手掛けた萩原俊夫さん(71)。

元理科教員の萩原さんは、「月の満ち欠けが見える地球儀」の発明で第61回県発明工夫展優秀賞の受賞歴があるアイデアマン。定年退職と同時に同財団参事に迎えられ、科学出前活動の普及業務を任された。

出前メニューの一つとして提案したプラネタリウムのドーム製作は教員時代からのライフワーク。「小4で星座の学習がありますが、夜に授業はできないし教科書だけで星の位置関係を教えるのは難しい。プラネタリウムが一番」と、農業用マルチシートで作ったドームを教室に広げ児童を驚かせていたが、光漏れや片付けに難点があった。素材や構造を試行錯誤しながら移動・設営しやすく改良を重ねてきた。

出前活動に派遣できるインストラクターは1回に2〜3人。「ドームは少人数で簡単に組み立てられなければ活動は長続きしない」と、軽量化を最優先し、床面をなくして置くだけの構造にした。素材は食品パッケージや農業に使われる遮光性ポリエチレンシートを採用。手作業で張り合わせ、まず直径6メートルのドームを仕上げた。搬入から設営までが30分程度に抑えられて活動に現実味が出ると、ニーズに応じて5メートル、7メートル、10メートルサイズも用意した。

小児病棟にも出張

投影には高精度のプラネタリウム「メガスターZERO」を使う一方、さまざまな分野のインストラクター陣手製の小道具も大活躍。「星座絵」の投影機にはズームレンズと茶筒、暗闇の中で星座絵フィルムを確認する装置は空き箱で作るなど、必要とあらば身近な材料で何でも作り上げてしまう知識と技は、まさに科学者の真骨頂。

さらに、タブレットやプロジェクターを使い宇宙を俯瞰(ふかん)した映像や惑星の動き、月の満ち欠けなども投影できるように。天体ショーの内容に幅が広がり、今では小惑星「リュウグウ」など最新の宇宙科学も紹介している。また、出前は学校だけにとどまらず、昨年は筑波大学附属病院の小児病棟に入院中の子どもたちにも星空体験を届けた。

2016年に同財団を退職後も引き続きボランティア・インストラクターとして活動する萩原さん。子どもたちを引き付ける実験装置づくりを楽しみながら「科学の面白さを伝える」アイデアを日々練っている。科学出前活動は保育園や幼稚園、小中高校、PTA親子活動などが対象で、「今年度は機器をリニューアルしてさらに素晴らしい星空体験をお届けする予定です」。

■問い合わせ
Tel.029(858)1100/つくばエキスポセンター

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