守谷市野木崎地区、常総運動公園の傍らに徳川家康が利用した渡船場跡があり、道しるべを兼ねた石塔がたたずんでいる。
地元で「がまんの渡し」と呼ばれるこの石塔は、1843年(天保14)に作られた行き倒れの馬を供養する馬頭観音塔。正面に「のだ・ながれ山道」、裏面に「もりや・いたばし道」など四方に方向が刻まれ行き交う人の目印になっていた。
1615年(元和元)5月の大坂夏の陣で天下人となった家康は、領内における民政の実情を直接見聞するため鷹狩りをしながら諸国を巡遊。そんな中、鷹のほか鶴も狩れる鷹場(たかば)のある越谷に到着したが、長雨のせいで狩りができなかった。
そこで家康は越谷から野木崎へ移動し、村の旧家椎名家に2泊3日滞在。その後、葛西方面へ出発しようとしたが大雨で利根川がはんらん。急流で船を渡すのは困難だったが、舟夫たちに命じて川を渡ったという。
この家康来訪伝承が渡船場の名前の由来となったそうです」と守谷市観光協会の川嶋建さん。また、鷹狩りのお供をした椎名家には恩賞として10町歩(10ヘクタール)の土地が与えられ、邸内に東照宮を祭り毎年家康の命日にあたる4月17日には周辺の住民が参拝に訪れている。
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