土浦市真鍋の照井山善應寺(しょうせいざんぜんのうじ)境内にある市指定文化財「照井の井戸」には、数百年前から清らかな水がこんこんとわき続けている。
水量が豊富でどんな日照りでも枯れることがなく、夏は冷たく冬は温かい水がわく古井戸。鹿島神宮の神様が突いてできたという言い伝えや、この地に来ていた弘法大師がのどの渇きを潤そうと水を探し、みつからなくて錫杖(しゃくじょう)を突いて掘り出したという説もある。
江戸初期の1661年(寛文1)に領内を巡検していた土浦藩主の朽木稙昌が井戸に石臼のコガ(桶)を入れて周囲に柵を作り、水をくみやすいようにして水戸街道を行き交う人や村人ののどを潤した。
いつしかその水の評判が広まり、医療用水や茶水にと遠くからくみに来る人が増え、1670年(寛文10)に土浦藩主の土屋数直が土浦城までの9町40間(1018メートル)に木樋(もくひ)を埋設し城内へ通水。土浦の上水道の始まりといわれ、城内の飲み水に利用されたほか民衆の洗濯などにも使われた。現在も商店や地域住民など多くの人に親しまれている。
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