火防(ひぶせ)や病気回復を願う人が訪れる龍ケ崎市砂町の医王院。1598年(慶長3)に建てられた本堂には、本尊薬師如来を守るように「十二神将像」が左右に6体ずつ安置されている。
十二神将像は平安時代後半に十二支と結びつけられ、宮毘羅(くびら)は子(ね)、伐折羅(ばさら)は丑(うし)、迷企羅(めきら)は寅(とら)などそれぞれの十二支獣が各神将の頭の上に祭られ、太刀や斧、弓などの武器を持った姿は性格を表しているとされる。
1883年(明治16)砂町や上町、下町が跡形もなく全焼した龍ケ崎大火で本堂は唯一焼失を免れ、かやぶき屋根にもかかわらず火の手が回らなかったのは、屋根に上った十二神将像が水をまいたからと伝えられている。
また、屋根を瓦に替える際、無数のタニシが本堂の屋根に張り付き火を食い止めたという伝説もあり「屋根を修復してから同院では、本堂を守ったといわれるタニシを食べていません」と住職。
伝説にあやかり毎年1月10日の初薬師の縁日は「火防のお札」を求める多くの参拝客でにぎわい、健康や防火を願って手を合わせる。
0297(62)3041/医王院