取手市の小文間台地にある福永寺の敷地を囲むように分布するのは、市指定史跡の中妻貝塚。
小貝川の広々とした沖積低地に臨んだ台地にある利根川流域最大の環状貝塚。1972年(昭和47)に寺の墓地造成で発掘調査が行われ、92年の発掘では100体もの人骨が見つかった。
07年11月の寺南東部C地点の調査ではヤマトシジミやハマグリなどの貝層から縄文時代後期中ごろの堀之内式土器と加曾利B式土器が見つかり、その下には住居跡があることが発覚。
今年9月の調査ではぶ厚く大胆な柄が特徴の縄文時代後期初めとみられる称名寺(しょうみょうじ)式土器が出土。併せて炉の跡も発見され、中からは灰や焼いて食べたと思われるシカかイノシシらしき動物の骨が、コゲ跡もそのままに出土している。
取手市埋蔵文化財センターでは出土品を炭素年代調査に出す予定で、今後調査結果の展示を検討している。
0297(73)2010/取手市埋蔵文化財センター