富士浅間(せんげん)神社の創建は、社伝によれば鎌倉時代の1200年(正治2)。駿河国富士郡浅間神社の神鏡を折半し、木花開耶姫命をご神体として祭っている。
そのご神体を駿河国から迎えた日が、旧暦の6月1日(今年は7月14日)。この日は子どもの健やかな成長を祈願する「初山参り」が行われ、普段は静かな境内が5000人もの人出でにぎわう。
本殿の裏には高さ27・5メートルの小ぶりな山があり、頂上はご神体の故郷にある富士山山頂のようなすり鉢状。頂上の「お鉢」と呼ばれる部分にほこらが建ち、「初山参り」の前日の夕方、ご神体を乗せたみこしは頂上のお仮屋に安置。当日早朝から親はたすきを掛けた子供をおぶって急な山道を登り、頂上の周りを1周し、中央のほこらで成長した子を神様に見てもらう。
「昔は食料事情や医療が悪かったから、数え年7つまで生きることが子供にとっての第二の人生の始まりだったんですよ」と同神社権禰宜(ごんねぎ)の中島早苗さん。子育ての「浅間様」は多くの人に愛され、年に一度、多くの子の成長を見届けている。
[TEL] 0297(62)1303/富士浅間神社