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2018年12月3日(月)

「妙技」手渡し29年

授業で伝える、綱火の「重み」

つくばみらい市小張地区に400年以上前から伝わる民俗芸能「小張松下流綱火」。家元や保存会が地元小学生に伝統の一端を教える体験学習が29年目を迎えた。伝統文化の担い手不足が各地で課題となる中、授業を経験した世代が少しずつ保存会に参加している。TX沿線の新しい街並みが広がるそばで、変わらぬ妙技を守り伝える人たちに胸の内を聞いた。


「本番が一番良かったよ」と優しく声を掛ける家元の大橋健一さん(右)=11月10 日、つくばみらい市立小張小学校

11月上旬。TXみらい平駅から南約1.5キロに位置する小張小学校(中野真粧美校長、児童数67人)では、今年も恒例の「子ども綱火」が行われ、4〜6年生が保護者や地域住民に練習成果を披露した。

法被姿の児童が口上を述べ、神様に豊作を願う演目「二六三番叟(にろくさんばそう)」では6年生が笛や太鼓を軽快に奏で、4・5年生は手元の綱で宙に浮く人形を操った。太鼓を担当した6年生の吉田和生君(12)は「うまくできてよかった」とほっと一息。自宅は毎年綱火が行われる神社の近所。「何百年も続いてきて重要なものと分かった。(授業を通し)これからも引き継いでいきたい」

授業は「窓口」

人形芝居と仕掛け花火を合わせた小張松下流綱火は、毎年8月24日の夜、小張地区の愛宕神社の祭礼として奉納される。1603〜16年に小張城主だった松下石見守重綱が戦勝祝いや犠牲者慰霊に考案。祖先が家臣として仕えた大橋家を中心に伝えられ、1976年(昭和51)に市内の高岡流とともに国の重要無形民俗文化財に指定された。

小張小では、90年(平成2)から当時の校長案で授業に「子ども綱火」を導入。毎年夏から8〜10時間程度の練習時間を設け、人形を操る保存会のベテランや火薬の調合を専門に行う家元らが来校して綱操りやおはやし演奏を手ほどきする。

児童らは8月の綱火前日に町内を練り歩く「繰り込み」でおはやしや山車として参加。秋になると先代の家元が手作りしたからくり人形が学校敷地内に建てられた柱や綱に取り付けられ準備完了。本番と違い花火は使わないが、「授業は郷土の祭りを知る窓口のようなもの」と17代家元の大橋健一さん(50)。

綱火を経験した6年生は、総まとめとして祭りの歴史や綱の仕組みなど毎年さまざまなテーマで発表を行う。保存会会長の山口勝弘さん(74)は「皆飲み込みが早い。大きくなったら(会に)入ってほしい」と本音ものぞかせる。

つながる意欲


毎年8月に愛宕神社に奉納される小張松下流綱火(昨年写す)

現在保存会は26人で、代表的な演目「桃太郎」が演じられるギリギリの人数。平均年齢は50代前半で、祭礼に欠かせない力仕事を担う30代以下の若手は9人ほど。会社員の橋本光広さん(29)は「小学生の頃にやったことがあるし、少しでも地元のために貢献できれば」と23歳で加入。学校の皆と楽しく練習した綱や楽器は一から学ぼうと取り組んでいるが、本番にやぐらの上で握る綱は緊張からか「重み」さえも感じる。苦労も多いが法被を着て近所を歩くと、なじみの顔に声を掛けられ少しだけ誇らしい気持ちになる。

同じく会社員の古渡和徳さん(33)は28歳で加入。小学生時代は気付かなかったからくり人形の精巧さに驚く一方、複雑な綱の張り方やベテランの綱さばきなどを見られるのは年に一度きり。技を盗もうと準備段階から必死で目に焼き付ける。「いつまでもベテランに頼れない」という気持ちは皆同じ。山口さんも「新しい街の人にももっと綱火を知ってほしいね」。地域の行事に関わる人達の思いや行動が、「伝統」をつないでいく。

間もなく平成最後の年を迎えます。時代の変わり目を前に、「受け継ぎ、伝えていく」をキーワードにさまざまな事柄や人物をシリーズで紹介します。

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