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2018年11月26日(月)

風呂上がりの夜空に×街場のアーティスト

12月28日まで、土浦で小林じんこ展

34年前に出版され、いまだ根強いファンを持つ漫画『風呂上がりの夜空に』の作者小林じんこさん(土浦市出身)の個展が、12月末まで市内各所で開かれている。土浦ゆかりの芸術家らも巻き込み街中が会場となった初の試みで、週末ともなると全国からファンが続々と詰め掛けている。


ヒロイン「花室もえ」のかつらとサングラスで変装する小林じんこさん=土浦市中央のがばんクリエイティブルーム

メーン会場は、亀城公園そばの通称「公園マーケット」の一室。藍で染めた「花乃湯」ののれんの先にはプロジェクターで漫画の名シーンが映し出され、ホワイトやセロテープなどの修正跡が残る原画や作中の「番台」も再現。2階には漫画に刺激を受けたパフォーマーやイラストレーターの作品が並び、他会場では『風呂上がり』のVRゲームを体験できる。

土浦を拠点に活動する音楽ユニットinemuri(イネムリ)は会場で流れる曲を制作。ピアノのパンダさんは肌合いの違う曲同士を集めたCDアルバムのような漫画を読み「表現活動は信念を貫くこと」と再認識。高校時代を思い返しながら作詞したボーカルのユカさんも「言葉にならない思いを文字にするのが難しかった」。週末には遠く大阪からもファンが訪れ、作中に描かれた土浦の風景をなぞる。都内から来た女性は「もし原画が展示替えされたら、また常磐線に飛び乗りますよ」。

喫茶店は、結節点

「当時のいわゆる学園モノとは一線を画していた。登場人物の表情やファッション、せりふ…。生き方や思考、言葉遣いなどに影響を受けた」と話すのは、展示を企画した工藤祐治さん(50)。生まれは仙台。男子校出身のためか、現実離れした物語に一発で魅了された。

大学進学を機に茨城へ。都市整備や街づくり関係の仕事を経て5年前、亀城公園向かいに建つ古民家で喫茶店を始めた。住む街が変わっても本棚の定位置は変わらず。人々がつながる場所で商いを始め、程なく憧れの人が土浦出身と知った。「いつか先生の個展ができたら」と考えていた3年前の春先、思いがけず店先に本人が登場し「緊張で固まっちゃったね」。有志で実行委員会を立ち上げ、知己を得た芸術家らに声を掛けた。

ほんとうのこと


(1)参加アーティストNONO SEKIさんの写真は80年代を思わせるファッションが特徴(2)展示期間中、城藤茶屋で提供されるフルーツ牛乳(3)編集サイドから色指定の書き込み付きが残るカラー原画

小林じんこさんは現在、土浦市内に住んでいる。

―20代、RCサクセションの名曲「雨上がりの夜空に」から着想を得、ネーム(絵コンテ)を飛ばし下描きから描き始めた。舞台が銭湯のため、幼い時分に通った「松の湯」(土浦市桜町2丁目)を取材した。ストーリー展開に頼らず、日々の出来事をネタにせず、物語を頭の中からひねり出した。一日一ページ描ければ上出来。次第に、主人公と周りのキャラクターがコマの中で躍動し、気付けばそれまでどこにもなかった「学園モノ」になっていた。

七夕まつりやデパートのヒーローショーなど「往年のワクワク感」は、今は昔。高校生まで過ごした街にはシャッターが目立つ。今回、同世代の読者や親に勧められて読んだ若者とも言葉を交わせたことは、「作者として素直にうれしいですね」。

土浦のアーティストたちが、一つの漫画を発火点に作り上げていった今展。工藤さんは「皆が好き勝手に表現して一つの世界観を創り上げた。普段意識せずに暮らしている土浦という街の懐の深さを、展示を通して伝えられたら」と話す。展示は12月28日(金)まで、がばんクリエイティブルーム(土浦市中央1-13-52公園ビル)で開催中。入場無料。

■問い合わせ
tel.029(895)0283/地立堂

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