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2018年5月11日(金)

ようこそ!“森の動物園”へ

ぬいぐるみデザイナー 遠藤 珠美さん

石岡市在住のぬいぐるみデザイナー遠藤珠美さん(77)の野外作品展「ぬいぐるみ動物園」が、5月12日(土)と13日(日)に同市大増の工房敷地内で開かれる。「かわいいものを作りたい」という一途な思いを原動力に制作を続け、デザイナー生活50周年を記念した展示では12種類40体の動物を並べ、来園者をひとときの空想の世界に誘う。

今にもころりと転がりそうな子パンダ、木々の上で遊ぶオランウータンの親子、悠然と佇む百獣の王ライオン、親の背にまたがって遊ぶ子ゾウー。「大きい作品は綿を詰めるのもひと苦労」だが、来場者の「かわいい」の声に思わず表情が緩む。

目指す道


2メートルを超える迫力ながら穏やかな表情のキリンは自信作

神奈川県生まれ、福島県育ち。端切れで人形を作るなど少女時代から物作りが好きだった。一度はファッションの道を志すも水に合わず断念。25歳の時、ぬいぐるみデザイナー助手の募集広告を見つけ都内のデザイン会社に就職。色も形もさまざまながら所狭しと並ぶ愛らしい商品に「こんな世界があるのか」と驚くとともに、自分の目指す道をやっと見つけた気がした。

入社後は一から勉強の日々。とはいえ、手取り足取り教えてもらえるはずもなく、帰宅してから幾つも試作する生活を続けた。当時、日本のぬいぐるみは欧米への輸出が盛んで市場も大きく、3年後に思い切って独立。「考え込まずにとにかく行動するタイプ」で、サンプルを手にメーカーなどを回りデザインを売り込んだ。依頼通りのものを作るだけでなく、流行の色を取り入れるなど独自のアイデアも織り込んだ。その甲斐あってか、1年後には数社のメーカーで顧問を務めるようになった。

デザイナーの腕の見せ所は何といっても型紙。型紙ひとつで出来上がりの良し悪しが全く違った。リアルさとともにかわいらしさを求める制作過程では、顔や体の造作に納得がいかなければ最初からやり直し、「3回やり直して出来上がれば大成功」と腕を磨いた。体のつくりや模様、仕草を知りたくて動物園に通いつめたことも。ある時、背中の独特の模様を再現してナマケモノを作ったが、数日後に「人間の指紋と同じで固体差がある」と知った。「あんなに一生懸命似せたのに、いらない努力だったって笑っちゃった」。それでも、制作の前に動物と真摯(しんし)に向き合う姿勢は今も変わっていない。

自然の中で暮らしたいと、28年前に石岡市八郷地区に移住。旬の果物や裏山に咲く季節の花々に心を和ませ、地域に住む木工、鉄、陶芸、染色など作家との交流も創作活動のプラスになった。

症状=愛情


樹上で遊ぶゴリラ親子の後ろには、フクロウ3兄弟を見つめる黒ヒョウの姿も

大事にしていたぬいぐるみを直してもらえないかとの声を受け、2002年頃に「ぬいぐるみ病院」を開始。当初は目や鼻などパーツの付け直し程度を考えていたが、依頼品は毛が抜けていたり、中綿が出ていたり、洋服や小物が破れているなど、買い換えてしまった方が簡単で安価だと思えるほど劣化しているものも多かった。

同時に「幼い頃から娘が大事にしていて大人になってもそばに置いている」「手放さない幼い息子になんとか言い聞かせた」など、涙ながらに現状を話す依頼主の声に愛情や思い出を強く感じ、預かる責任も痛感した。できるだけ現状を維持して修理しようと、本来の制作では不要な植毛の作業なども研究。丁寧な仕事を心掛ける日々が、作品づくりに変化をもたらした。目などのパーツを付ける際は裏に当て布をするなど、以前は気にかけなかった耐久性にいつしか配慮するようになっていた。

近年、ぬいぐるみの生産地の中心は国内から中国や東南アジアにシフト。思い通りの生地や材料を手に入れるのに苦労しながらも「かわいいものを作りたい」という意欲が尽きることはない。「制作活動に終わりなんてない。今は2020年を目指して物語仕立ての作品展示の構想を練ってるの」

ぬいぐるみ動物園は5月12日と13日、6月8日(金)〜10日(日)午前10時〜午後4時まで開催。7月からは水族館、10月からは森の動物たちをテーマにした展示を行う予定。入場無料、雨天中止。

■問い合わせ
tel.0299(44)3071(午後5時まで)/樹麻紅工房(石岡市大増360-3)

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