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2018年3月26日(月)

茨城の桜史、後世に

常磐百景プロジェクト代表 坂野秀司さん

凛とした立ち姿の一本桜に魅せられた坂野秀司さん(42歳、小美玉市在住)は、7年前から県内の古木を撮影し、大相撲の番付風にまとめネット配信。枝振りや見栄えのほか、桜の歴史的背景や所有者の思いを酌んで独自に格付け。時代の節目が迫る中、平成の世に咲く桜の「物語」を後世に残そうと撮影を続けている。

記憶に残す


ピーク時には1日20本を撮影=3月10日、河津桜が満開を迎えた雨引観音で

いわゆる転勤族の坂野さん。「娘が大きくなった時に住んでいた場所の記憶を残してあげたい」と2009年当時赴任していたいわき市で風景写真を撮り始め、「三春の滝桜」に衝撃を受けた。何気なく眺めていた桜並木ではなく、人々の手によって脈々と受け継がれてきた「一本桜」という分野があると初めて知った。

水戸に転勤となり、迎えた13年春。那珂市の額田神社で元太田一高校長の川上千尋さん(84)作成の茨城桜見立番付(昭和58年)を見つけた。番付に従い県内を巡ると約3割が枝折れや枯死し、伐採された木も多かった。番付発表後約30年で風景は一変。「誰にも知られず地域の名木が人々の記憶から消えてしまう」と危惧し、川上さんの昭和の桜番付にならった平成版を作ろうと一人「常磐百景プロジェクト」を開始。翌春、巨桜や古桜を網羅した「茨城一本桜番付平成26年春場所」をネット配信した。

過去を知る

調査が進むにつれ、茨城の桜史への興味は増した。県内には神社にヤマザクラ、寺はシダレザクラが多く分布し、氏神として祭る家もあった。茨城の桜並木はそのほとんどが戦後植樹されたソメイヨシノ(園芸品種)だったが、福島ではヤマザクラやエドヒガンなど野生種が主流。しかも樹齢800年以上の大木が多く、所有者が見物客にお茶を出し桜にまつわる物語を語る風習もあった。

茨城にはそうした「観桜文化」がないと思われたが、14年に駒村清明堂(石岡市)の桜に出合い考えが変わった。堅牢な岩を砕いて幹を伸ばした石割桜は見ごろを迎えると家人がライトアップ。県内最大の根回りで樹齢750年の「神生家の殿桜」(石岡市)では84歳の古老が「わが家の家宝」について3時間語った。「桜守」の歓待ぶりや名木の歴史などを書き留め、取材ノートは瞬く間に頁を重ねた。

翌年には「水戸桜川千本桜プロジェクト」に参加。1696年(元禄9)、「西の吉野・東の桜川」と称せられた桜川市のヤマザクラ数百本を徳川光圀が水戸市河和田町と見川町一帯に移植。往時の景勝地を再生しようという計画の骨子は、光圀公の「彰往考来(過去をあきらかにして、未来を考える)」だった。自らの番付も「そういうことなのかも」と思った。

未来に継ぐ


茨城桜見立番付(昭和58年、川上千尋著)(右)と坂野さんの「茨城一本桜番付平成30年春場所」

2017年12月、天皇陛下の生前退位が発表された。平成の終わりを目前に控え、来年発表予定の「完全版」は県立歴史館や図書館等への寄贈を考えている。古く、大きい一本桜を探し始めた旅も終盤を迎え、今では「代継ぎ」の桜に興味が移った。

番付の最高位「東の横綱」には、ここ数年「偕楽園左近桜」が陣取る。初代のシロヤマザクラは徳川斉昭の妻が都から嫁いだ際、京都の紫宸殿左近桜を弘道館に株分けしたもの。枯死や戦火を経て昭和38年に「3代目」が宮内庁から弘道館と偕楽園に寄贈。「樹齢わずか60年の若木だが、皇室のゆかりや水戸藩の歴史を背負うなど、まさに代継ぎの象徴なんです」。

春には古木から新しいひこばえが芽を伸ばすが、調査過程で「人間の手が入らない桜は絶える」と知った。かつて名もなき人々が植えた老木が、今ファインダー越しに写っている。そんな当たり前のことを考えながら、平成31年春までシャッターを切り続ける。

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