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2018年2月10日(土)

つくば 生活困窮世帯向け学習会、利用者急増

食事支援も、「思いやりの連鎖」つなぐ

2017年、厚生労働省が発表した国民生活基礎調査によると、子どもの貧困率は2015年時点で13.9%(7人に1人)。こうした現状を改善しようと、つくば市内でも生活困窮世帯の子どもたちを対象とした無料の学習会が開かれている。思いやりの連鎖で次世代を担う子どもたちに「学ぶ楽しさ」を伝える現場を取材した。

低学力の固定化


遠方の子どもには送り迎えもあるが、片道の送迎代300円が払えない人も=1月11日、つくば市内

昨年末の夕暮れ、つくば市内でNPO法人居場所サポートクラブロベの学習会が開かれた。約40人が通うが、代表の森美智子さんによると「入ったばかりの子は一様に無表情。大人の目を見て話さないんです」。

自宅での学習習慣がなく、「小5で小2の問題が解けない」「受験生で分数の割り算ができない」など基礎学力が低い子らのために、ここでは誰もが「無学年教材」や繰り返し行う計算問題で一からつまずきを解消していく。

自己紹介では各自夢を語ってもらうが、「お金持ち」「タレント」などあいまいだった回答が、勉強が楽しくなるにつれ「美容師」「教師」「福祉の仕事」など具体的に。各家庭では親が仕事の掛け持ちなどで勉強を見られる余裕もなく、「子どもたちは教室でも息を潜めるように生活している」と森さん。

週2回の学習会は安心して過ごせる居場所。学校はばらばらでも、皆すぐに友達になる。「きっと、独りぼっちの寂しさが痛いほど分かるのでしょう」

日本財団の調査によると、生活保護世帯と一般世帯の子の平均偏差値は7〜9歳では大差ないが、10歳(小4)になると顕著になり、その後固定化する傾向にあるという。

ロベでは小2〜高卒認定取得を目指す20歳まで幅広く受け入れ就職までの道筋をつけるが、行政の補助対象(小4〜中3)外の子どもの教材費は、バザーの収益金等を充てている。

厳しい現実

数年前、森さんが運営する児童クラブに一人の女児が来た。母親から虐待を受け両親は離婚。「娘が生きがい」と話す父親は日雇いで糊口をしのいでいたが、次第に家賃や月謝を滞納。父子はある日、街から姿を消した。「こんな子が今のつくば市内にいるなんて。最初は信じられなかった」

市社会福祉課によると、市内の生活保護世帯は昨年9月末で865世帯、保護率は0.46%(1064人)。全国平均(1.68%)や県(0・95%)の数字と比べると低いが、昨秋のつくば市区長会の冒頭で五十嵐立青市長はこの問題を重要視。「数の大小ではなく、こうした子どもが現実にいること」を区長らに伝えた。

ロベの学習会が市の委託事業となった昨秋以降、同課が小4〜中3の子を持つ生活保護世帯と就学援助制度利用世帯に学習支援事業を案内すると利用者が急増。現在市の委託で学習支援を行う団体は市内に二つで、「全域で行うには安定的に運営できる団体がいないのが現状」(同課)という。

ロべでは今後、独自に市中心部に新しい拠点を設置し、「遠方者や車がない学生ボランティアが来やすい環境を整えたい」という。

一緒に食べる

午後8時。待ちに待った食事の時間が訪れる。この日はカレー汁と塩むすび、リンゴ二切れ。家に夕食がなく、これが一日の最後の食事という人も多く、次々とお代わりの手が伸びる。

食事は一昨年夏からつくば中央ライオンズクラブの女性会員らでつくる「むすび支部」が当番制で用意し、現在は会員以外の「おむすび隊」も参加。食材はフードバンクや同クラブへの寄付などが中心で、旬のものや果物を添えるなど各自無理のない範囲で工夫を凝らす。

昨春の市議会で生活困窮世帯の問題を追及した山本美和さんも月に数度足運び、欠かさず20個を作る。当初味付けは塩やふりかけだったが、ある日ツナやゆでキャベツを挟んだ「おにぎらず」を作っていくと子どもたちに大好評。「食事は栄養だけでなく歯応えや彩り、一緒に食べることも大事。皆の笑顔を見たら、どんなに忙しくてもやらなきゃと思う」。山本さんは、今後も市議会でこの問題を取り上げていくという。

私たちの問題

こうした学習支援では一般的に「子ども一人に大人二人が必要」とされる。社会から脱落しそうな子どもたちを放置すると、「やがて自分たちの問題として返ってくるのでは」と森さん。ロベでは学生や元教員の学習支援ボランティアのほか、食事支援や行政の保護対象外者(低学年、高校生以上)のための資金援助を募っている。
■問い合わせ
TEL:029(886)9318/ロベ

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