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2017年10月7日(土)

県南地区自動車盗「ヤード条例」効果か、軒並み4割減

県内犯罪率も「10年連続ワースト」返上の兆し

人口10万人当たりの自動車盗難認知件数(犯罪率)が10年連続全国ワーストの茨城県で、今年に入り改善の兆しがみられている。県内市町村別認知件数ワースト1位だったつくば市でも、今年8月末時点での件数は前年比4割減に。4月に施行された県のヤード条例が一定の効果を挙げる中、警察ではハード面の防犯対策と共に「普段の声掛けが大切」と警鐘を鳴らしている。


坂東市内のヤードに立ち入り検査を行う警察官(県警提供)

人口が急増するTX沿線。みどりの第1区会長の渡邉周一さん(42)は8年前、16世帯だった新興住宅地に自治会を立ち上げた。

現在140世帯にまで増えた住宅街では、数年前から高級SUV車やワンボックスカーなどの盗難が相次ぎ、渡邉さん宅でも庭に置きっぱなしの草刈り機や子供用自転車が盗まれた。近所でもタブレット端末やゴルフバッグなどが車上荒らしの被害に遭った。

「みどりの駅はTX沿線で唯一交番がない。交番があれば絶対安全というわけでもないのでしょうが…」

複合的要因

県内の自動車盗難認知件数は2015年が2107件で前年比16.2%増と全国で最も悪化。1590件と517件減少したが、犯罪率(人口10万人当たりの認知件数)は54.5件で全国平均値の約6倍と10年連続のワーストを記録した。

背景について県警生活安全総務課では車の保有台数の多さ、幹線道路や港が整備され盗難車を運びやすい、家と家の間が離れており監視の目が届きにくいなど複合的な要因を挙げている。

盗まれる時間帯は圧倒的に夜間が多いが、盗難車は高級かどうかではなく、地域によって狙われる車種もさまざま。「組織化された犯罪者側の需要があるか」で決まるという。

犯罪の“温床”

「盗難車は一時預かり役から運び屋に渡り、違法ヤードで解体されてパーツごとに輸出され、現地で組み立てられる。犯罪が分業化しています」と話すのは、つくば中央警察署生活安全課の小澤嘉弘課長。

県内にある約300のヤード(自動車解体施設)の多くは県南・県西地域に集中しているが、つくば市内の自動車盗難認知件数は2015年が222件、翌年は200件と減少するも2位の土浦市(106件)の約2倍。北海道(190件)や福岡県(188件)より多い。

こうした状況に待ったを掛けたのが今年4月に施行された県のヤード規制条例。条例では業者の届け出や引き取りの際に運転免許証や車検証などで相手を確認し書類の写しの保存を義務化。窃盗犯の検挙と共に、「盗難車が違法ヤードに持ち込まれにくい状況をつくること」に力点を置いた。

条例施行後の初摘発は今年7月。阿見町のヤードで車を引き取る際の身分確認などを怠った「相手方不確認」で経営者の男(32)が書類送検、8月30日には鹿嶋市内のヤードで「届け出義務違反」によりナイジェリア国籍の男(37)が書類送検された。

今年8月末時点でのつくば市内での被害は88件と前年同月比66件減。土浦や牛久、龍ケ崎、常総でも軒並み4割程度減少した。県警では「条例に一定の効果が見られる」とする一方、茨城で盗んだ車を他県で売るため県警の認知件数に反映されない事案も多発しているという。小澤課長は「ここ2〜3年が多すぎたので元に戻っただけ。依然として茨城は狙われていると思う」と指摘する。

自衛の意識

自宅で被害に遭った渡邉さんは程なく敷地内にガレージを建て、自治会で駅から続く道にLED防犯灯を設置した。200世帯にアンケートを行い「青白い光は人の気持ちを落ち着ける」との分析結果も市に提出した。「抑止力の考え方が変わりつつある。個人の自衛が必要な時代なのかも」。

つくば市内に本社を置く大手不動産会社の支店長菊地真輝さん(45)は、小学校建設も予定されているみどりの地区に「交番が必要」と強く訴える一人。自社物件ではヤード条例施行後も車のナンバー窃盗や車上荒らしが多発している。

警察では駐車場の事業者などに対し指導を行っているが、強制力はない。小澤課長は言う。「泥棒は音と光を最も嫌う。監視カメラなどハード対策と共に、犯罪者に狙わせないために普段から地区内での地道な声掛けが有効です。泥棒は必ず下見をしますから」

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