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2016年9月17日(土)

「変えてはいけないもの」語り継ぐ

石岡市の木村さん民話集を制作

石岡や八郷地域に伝わる昔話を独自に調査している木村進さん(石岡市在住、68歳)が、このほど民話集『石岡地方のふるさと昔話』を自主制作した。幼い頃から各地を転々として「ふるさとがない」からこそ、地域に根差した庶民の生活や風習が息づく物語を追い求めて10年余。時代や語り部によって変化しながら伝わってきた昔話を楽しみ、残していくことでふるさとへの思いをはせる。

「興味をひかれた民話の舞台には必ず足を運ぶことにしているんです」

石岡市八郷地区の果樹園団地を抜け、草に埋もれた看板を頼りに山を上がってたどりついた史跡。廃寺となった今は石碑が残るばかりだが、かつては中禅寺大御堂を取り囲む四面薬師の一つ「北面薬師」があった場所。周辺の地名「十三塚」は全国に点在するが、戦で死んだ武士の塚だったり川で溺れた子を弔った塚だったりと、その由来はさまざま。

石岡に伝わる昔話『化け鼠と12匹の猫』は12匹の勇敢な猫が凶暴な大ネズミを退治する話で、舞台は納屋や廃屋など諸説ある。そんな話を土台にして自ら編んだ民話集では、「古木や竹林に囲まれ荒れ果てた廃寺こそそれらしい舞台」とアレンジを加えた。「昔話に必要なのは正確さではないんです。土地の風を感じることが大切なんですよ」。

昔話の本質とは


一冊ずつ手作り。表紙や挿絵は地元の中学生イラストレーター、ララ・モスラさんが手掛けた

1948年(昭和23)、新潟県小千谷市生まれ。物心がつく前に神奈川県に転居し、その後も地域に慣れる間もなく引っ越しが続いた。「普通、ふるさとっていうと生まれ育ったところ。そう考えると私にはふるさとがないのかもね」。

慶応大学工学部修士課程を修了後、大手電機メーカーで海外向け大型機械を設計する仕事に就いた。それを機にかすみがうら市に引っ越し、11年前に石岡へ移り住んだ。

街の第一印象は「どこか懐かしい」。路地裏に1歩入ればファンタジーの世界に踏み込んだような雰囲気を感じた。一方で、常陸国府に至る古東海道の終点に当たる「歴史の街」と知らない人が多いのが不思議だった。興味をそそられ調べると、古東海道の松戸(千葉県)から石岡までのルートが不明であること、史料によって違いがあることなどが分かった。

学生時代は歴史の授業が嫌いだったが、昔から納得できないことは検証しないと気がすまない性分で、「そこは理系の気質かな」。それから史跡などにたびたび足を延ばし、「離れた地域の寺社にある楼門の造りが似ている」「全国の酒どころに残る『子は清水』の話が石岡にもある」など、歴史の中に埋もれた「つながり」が見えるようになると知りたい欲求は増すばかり。

やがて、地域史をまとめた資料が少ないと感じ、2008年にホームページを開設。2年後には各所を訪れた際に感じた雰囲気を伝えたいと紀行文風のブログも開設した。

昔話の現地調査で大切にしているのは、かつてそこに暮らした人々の「匂い」を感じること。「当時のその土地の文化やなりわいなどを伝えていくのが昔話だと思っています」。

古木や竹林に囲まれた北面薬師跡。吹き抜ける風を感じ「伝説が生まれたのはこんな場所なのかもしれない」と思った。調査を進めると八郷地区十三塚で猫がネズミを退治する話は、当時の周辺地域で養蚕や稲作が盛んだったことに由来していた。害獣のネズミ対策として、猫を大事にした当時の人々の暮らしと息遣いが見えてきた。

 

「心のふるさと」求めて


ブログをまとめた『地域に眠る埋もれた歴史シリーズ』は現在14冊。「30作は刊行したいね」

茨城は今や自分にとって安住の地。振り返れば「昔話を通じて、自分のふるさとを求めていたのかも」。

幼少期から各地を渡り歩いてきたからこそ、昔話を通してそこに暮らす人が愛着を持てる自然や史跡など「変えてはいけないもの」を伝えれば、「慣れ親しんだ美しい川を簡単に埋め立てるようなことはできないんじゃないかな」と実感する。

今気になるのは天狗やかっぱ伝説。「水辺がある石岡にかっぱの話が残ってないのはなぜだろうね」。

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