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2016年6月13日(月)

難しいことは楽しく、かすみがうら市民学芸員の会が調査

「出島のお米、なぜおいしい?」

2014年度に認定見送りとなった「筑波山地域ジオパーク」。関係する自治体では、前回の反省を踏まえ市民参加の活動に力を入れている。中でもかすみがうら市では、シニア層を中心にした市民学芸員の会が「難しいことを簡単に、楽しく」をモットーに観光ガイドやジオツアーを企画。8月の現地審査に向け、故郷の土地の魅力を再発見している。


カキ殻層がむき出しの崎浜横穴墓群を調査する市民学芸員たち=かすみがうら市崎浜

雨上がりの霞ケ浦湖畔。「かすみがうら市民学芸員の会ジオ部会」のメンバーが、古墳時代後期の崎浜横穴墓群を調査に訪れた。

約12万年前の関東地方は一面の大海原。海岸線は筑波山麓まで達し、海底には土砂が堆積していた。やがて氷期が訪れると海面が後退し筑波山地域が陸地化。そこに周辺河川から土砂が運ばれ、出島半島北部や高浜入りは主に砂質土壌が形成された。

「かすかに潮の香りがするわね」。かつて海だったことを示す遺構のカキ殻層を調べる宇野房子さん(67)は同市安食出身。旧出島村北部の霞ケ浦沿岸は砂地で水はけが良く、清らかな湧き水が米作りに適している。普段何気なく食べている米を市外の知人に分ける時、宇野さんは日ごろ勉強した成果も併せて話す。「うちの米は、水戸藩の殿様に献上された田伏米と同じ土壌で作ってるからおいしいのよ、って」。見慣れた風景や一見すると普段の生活と関係なさそうな土壌に宝物が隠れている—。「これを観光に生かさない手はないわ」と同市を訪れる観光客へのガイドに一層熱が入る。

ジオパークって、何?

ジオパークは、地球科学的に価値の高い自然遺産を保全し、教育や観光などに生かす取り組み。日本全国では36地域、県内では国内最古の5億年前の地層や近代化を支えた鉱山などを持つ「茨城県北」が認定されている。

ひたちなか市の平磯海岸では、白亜紀に形成された「那珂湊層群」やアンモナイトの化石が見られ、観光や地域の出前授業などに活用されている。

全国に目を向けるとダイナミックな景観の「洞爺湖有珠山」や「阿蘇」が認定済みだが、市民学芸員の会に学術的アドバイスをしている同市郷土資料館学芸員の千葉隆司さんは「非常に地味ですが、筑波山地域の魅力は現代に続く産業を育んできた岩石や土、水なんです」と話す。

筑波山地域の魅力


(1)霞ケ浦のハス田も泥質土壌が育んだ風景
(2)桜川・紫尾製陶所の土管
(3)砂質土壌の霞ケ浦沿岸では今も美味しい米が取れる

筑波山から産出される花崗岩や変成岩は長い年月を経て風化し、砂や土、粘土になった。東京に近く良質な花崗岩が採れる真壁や笠間では明治初期の殖産興業を機に石材業が隆盛を極め、石の運搬に伴い鉄道など交通網も発達。迎賓館や日本橋、国会議事堂など近代建築の礎となった。

窯業は江戸時代から続く笠間焼を始め、真壁の東山田地区では現在も農業用の土管を生産し暗渠排水用として全国に販売。かの有名な魚沼産コシヒカリの供給を下支えしていることはあまり知られていない。

また、筑波山麓のやせた土地では岩石の間を通り抜け流れ鍛えられた水を生かし酒米や大豆が作付され、多くの醸造業が興った。今でも北条米は食通に好まれ、土浦や石岡の醸造業者は自社製品を世界にアピールしている。

次世代につなぐ

「われわれは、太古の人と同じ時を過ごしているのかもしれませんね」。カキ殻層がびっしり詰まった横穴墓を横目に、同会最年少メンバーの諏訪昌彦さん(39歳、同市宍倉)がつぶやいた。数年前この地に引っ越し、子どもたちに土地の歴史を伝えなくてはと思った。長い年月を経て堆積した土地の恵みを感じながら、「この歴史を次の世代に渡さないと」と活動を続ける。

同会では、7月22日(金)にジオツアー「人と石の文化編」(有料)を企画。申し込み・問い合わせTEL 029(896)0017/かすみがうら市郷土資料館

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