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現在位置 : トップ > 常陽リビング一面記事 > ペーパークラフト作家 大熊 光男さん、酒井 志保さん夫婦
2016年6月13日(月)

ペーパークラフト作家
大熊 光男さん、酒井 志保さん夫婦

つくばの自然は創作の源

ペーパークラフト作家の大熊光男さん(つくば市、53歳)と酒井志保さん(52歳)夫婦は、かつてテレビ番組『ペーパークラフト王選手権』で競い合ったライバル同士。互いの技法と作品にひかれ合い、2001年から共同で創作を始めた。つくばの自然の中で2人の個性が融合して生み出される新たな作品は、これまでの技法を超えて動画の世界へ夢を広げる。

出会いは1999年に行われたテレビ東京の人気番組『TVチャンピオン・ペーパークラフト王選手権』だった。予選で前回優勝者の大熊さんに勝利したものの、決勝で敗れた酒井さんは、「彼の作品のファンでしたので、悔しいというより一緒に戦えたことが誇らしかった」と振り返る。当の大熊さんは「自分とは違う柔らかい表現方法や優しい作品を生み出す技法が新鮮だった」とライバルをたたえた。その後、大熊さんが手掛ける『月刊ディズニーファン』の表紙を共同制作するなど、良きライバルは良き同志の関係に発展した。

それぞれの個性


「創作した作品は自分たちの子どものよう大切にしている」とつくば市内のギャラリーで

大熊さんは東京都に生まれ、幼少の頃から工作好きで紙を使ったおもちゃを自作して遊んでいた。建築業を営む父の勧めで建築専門学校を卒業し設計事務所に勤務したが、本格的にペーパークラフト制作に専念するため約1年で退職。25歳の時に独自の技法で作ったロボットのキャラクター作品が週刊誌上で入選し、趣味のバイクをモチーフにした作品がバイク専門誌の表紙を飾り、その後約10年間連載。メカニックなロボットやジオラマなどを大胆にデフォルメする立体作品が特徴の作家として知られるようになった。

一方の酒井さんは山形県に生まれ、東京のデザイン専門学校を卒業しグラフィックデザイナーとして働きながら粘土や紙を使ったクラフトワークを独学で習得。すると、幼児誌や絵本の挿絵、教科書などのイラスト作品の依頼が増えたため26歳でフリーになり「こどもちゃれんじ」や「キンダーブック」などの表紙を担当。紙に丸みを付けて立体的に見せる温かみのある半立体レリーフ作品を得意とした。

二人ともはさみや紙など使う道具や材料は共通だが「それぞれ独自に身に付けた技法なので、最初はその違いに驚きました。なるほど、へえーの連続でした」と大熊さん。

交通事故が転機に

二人の「コラボ」は「事故」がきっかけだった。クラフト作家活動も軌道に乗り、自然豊かな場所で創作活動をしたいと大熊さんがつくば市に移住したのは1995年。雑誌連載も6誌以上抱えて東京とつくばを往復する忙しい日々が続いたある日の夕刻、都内からバイクで帰宅する際にトラックと接触して左膝大腿部骨折で約2カ月入院した。幸い命に別状はなく丈夫な体に産んでくれた両親に感謝する一方で「フリー作家は体が動かなくなったら仕事もできないことを実感しました」。

そんな大熊さんを支えるために、酒井さんの「つくば通い」が始まった。「当時住んでいた横浜からつくばまでは遠くて大変でしたが、仕事と精神面をサポートしようと一生懸命でした」。そして2001年、酒井さんがつくばに移住し公私ともに大切なパートナーとなった。

「つくばに来てから始めた家庭菜園で季節感を感じ、鳥や虫を観察し生き物の目線で自然を見ると新しいアイデアが生まれます」と酒井さん。「自然の中に作品を置いて撮影するなど、新しい表現方法も広がりました」と大熊さん。共に作品の幅を広げ、二人共同の新しい作品も作り始めた。

創作のこだわり

作品制作に当たっては資料や現地調査を必ず行う。「例えばシンデレラ城の制作を依頼された時は真上から見た写真も参考にし、実際にどうなっているのか徹底的に調べて見えない所まで作り込みました」。

現在は400カット以上の写真をコマ送りでつなげ、15秒の動画にする作品を制作中。「CGでは表現できない味のある作品で見た人が驚くものを作りたい」と新たな創作に取り組んでいる。

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