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2014年7月14日(月)

町民と育てたご当地アニメ

ガールズ&パンツァープロデューサー 杉山 潔さん

古き良き商店街やマリンタワーが特徴的な大洗町を舞台に女子高生が戦車を操るアニメ「ガールズ&パンツァー」のプロデューサー・杉山潔さん(牛久市、52歳)は制作当初から地元と話し合いを重ね、深夜アニメとしては異例の大ヒットとなった作品と町を結びつけた仕掛け人。しかし「アニメはきっかけに過ぎない」と、町民一人ひとりが街づくりの主役として「ご当地アニメ」を自ら楽しんで育て上げ、来場者のもてなしに徹し、「アニメで街おこしに成功した町」には週末ごとにファンが押し寄せる。

週末に催しがあると、普段は静かな大洗の商店街は全国からの「ガルパンファン」でごった返す。
劇中で女子高生が操る戦車で玄関が壊れる実在の割烹旅館「肴屋本店」代表の大里明さんは、「週末が大雨でもイベントがあれば1000人ぐらい来てくれます」と話す。

アニメでは華道や茶道のように「戦車道」が女子のたしなみとされ、個性豊かな美少女たちが部活動(スポーツ)として戦車を操る大洗女子学園が舞台。
テレビの深夜放送枠でスタートした作品は徐々に人気に火が付き、放送終了から半年以上経った昨秋の「あんこう祭」には約10万人の人出を記録。今では「大洗=ガルパンの街」というイメージが定着した。

そんな状況に「アニメはただのきっかけに過ぎない。町の皆さんの企画力とおもてなしの結果なんですよ」と杉山さんは分析する。

◇   ◇   ◇

幼い頃から飛行機と戦車、戦争映画や軍事ドキュメンタリーが好きだった。
高校生の時に見た宮崎駿監督の「未来少年コナン」で初めて本格的にアニメーションに関心を持ち、筑波大学に進学すると現代視覚文化研究会でアニメや漫画に没頭。人形アニメーション作家の岡本忠成に師事し卒論を書いた。

幼い頃からの夢だったパイロットは視力が悪いため断念し、卒業後はレーザーディスクのマーケティング職に。
28歳の時、映像プロデューサーとしてレコードメーカーに転職し、初めて趣味と仕事がリンク。アニメや航空自衛隊のドキュメント作品などをプロデュースした。

36歳でバンダイビジュアルに移籍し、航空・軍事ドキュメントを制作する一方、山岳遭難や海難事故で活動する航空自衛隊救難隊から着想を得た「よみがえる空」を手掛けたがビジネスとしては成功しなかった。作品自体は高評価で「妥協せずに作った」という手応えも残った。

◇   ◇   ◇

ガルパンの原型となる「美少女と戦車」の構想が持ち上がったのは2010年。
しかし、企画段階で東日本大震災が起こり、「非常時にはいつもエンターテインメントの人間は役に立てない。でも、できることをやらなければ」と、自身も被災者ながら人命救助と行方不明者捜索に従事する航空自衛隊松島基地に差し入れした。

やっと本業に戻れたのは5月。
当初、作品の舞台は山陰地方のとある町を想定していたが、「アニメで被災地を応援できないか」と思っていた矢先、百里救難隊が撮った空撮写真を見た。コンテナが散乱し水浸しになった大洗港が写っていた。
「ここだ」と思った。

◇   ◇   ◇

女子高生が戦車を駆るという設定だったが「残酷な作品は作りたくない」というスタッフの思いから戦車道という部活動(スポーツ)にする着想も生まれた。

そして、「経済効果が目的ではない。まずは制作サイドと町民の信頼関係が大事」と、アニメで戦車が町を破壊する場面の許可を取るために商工会や各商店に出向き、「街を壊させてください」と頭を下げた。
アニメでは明治時代から続く「肴屋本店」の玄関に戦車が突っ込み、大里さんの「やった〜!これで新築できる!!」というユーモラスなセリフがファンの心をつかんだ。

「町の皆さんは驚くほど豊かな発想とノリの良さで撮影に協力してくれました」と杉山さん。

そんな荒唐無稽なストーリーの中に「小さなリアル」を詰め込んでいく手法で2012年秋の放送開始からじわじわ反響が出始め、11月のあんこう祭には前年の2倍の約6万人が来場。
用意したガルパングッズはあっという間に売り切れたが、行列に並んだファンに頭を下げる地元スタッフに文句を言う者はいなかった。

さらに全12話中2話が放送に間に合わないというアクシデントにも、「ファンは待っていてくれました。とにかく期待してくれる人たちを裏切らない仕事をしようと必死でした。何より地元の皆さんの誠実な対応も忘れられません」。

◇   ◇   ◇

2013年3月の「海楽フェスタ」から商店街の店先に美少女キャラクターの全パネル54体が並び、作中で女子高生が食べた串揚げを実際に作る店も現れた。
大洗駅での展示会、鹿島臨海鉄道や茨城交通バスの車体(ラッピング)広告など外部団体の無償協力も続き、ファンはアニメに登場する実際の場所や展示パネルを求め「聖地巡礼」するようになった。
呼応して商店主は店の奥から表に出て作品のコアな話題で語り合うなど、ファンにとって居心地の良い場所に。

ある店主はパネルを「ウチの娘」と呼び、ファンが店主に土産を持参することも珍しくない。
また、ある店主は厳冬の大洗磯前神社で年越しするファンに甘酒を振る舞い、海開きの前に開かれるクリーンアップ作戦には逆にファンが駆けつけてくれた。
はるばる大洗を訪れたファンが団子を1本買い「とってもおいしい」と笑顔を見せたとき、実の娘に「これが私たちの商売じゃないの?」と言われ店主がはっとした―。
そんなエピソードが杉山さんの耳にあちこちから聞こえてきた。

◇   ◇   ◇

一連のムーブメントに、「単にアニメの舞台に選ばれれば街が活性化するというものじゃない。街おこしに方程式はないということではないでしょうか」。

自分の町に来る客を町民一人ひとりが誠実にもてなすこと―。
「それが成功のカギ。それにしても、ファンも大洗の人たちも本当に最高ですよ」。

最新OVA「ガールズ&パンツァーこれが本当のアンツィオ戦です!」は現在、全国14の映画館で上映中。

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