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2013年7月8日(月)

綱取り目指せ!稀勢の里!

がんばれ!郷土の星

牛久市出身の大関・稀勢の里(27)が、7月7日から愛知県体育館で開かれている7月場所(名古屋場所)で悲願の綱取りを目指す。7年にわたって外国人力士が優勝し、日本人横綱不在期間約10年という大相撲界にあって、先場所は初優勝にあと一歩と迫った稀勢の里。今場所こそは-との期待を背負う「稀な勢いで駆け上がる」力士に、恩師や地元商店主から熱い声援が送られる。


郷土後援会総会・激励会での稀勢の里関(6月8日、牛久市内で)
異例のスピード出世

稀勢の里(本名・萩原寛)は、1986年生まれの27歳。龍ケ崎市立松葉小学校4年生のときに野球を始め、長山中学校でも野球部に所属。体格に恵まれていたため野球の強豪校からの誘いがあったものの、選んだのは相撲の道。中学卒業と同時に鳴戸部屋に入門した。

先代の鳴戸親方(元横綱・隆の里)の熱心な指導もあり、2004年の11月場所では貴乃花に次ぐ18歳3カ月でのスピード出世で番付を上げ、新入幕を果たした。それを機に本名の「萩原」だった四股名を「稀勢の里」と改名。

「稀な勢いで駆け上がる」という親方の期待通りに番付を駆け上がり、現在は威風堂々の大関に。これまで幕下優勝1回、殊勲賞5回、敢闘賞3回、技能賞1回。そのうち金星は朝青龍から1回(2008年1月場所)、白鵬から2回(2008年9月場所、2010年11月場所)。特に2010年11月場所では平幕でありながら白鵬の63連勝を阻止する「歴史的な大金星」も挙げている。

土俵の上では鋭い眼差しで相手を見据える稀勢の里だが、幼いころを過ごした地元の関係者からは穏やかで礼儀正しい青年像が浮かび上がる。

◇   ◇   ◇


「がんばれ!!」と池辺昭子さん、池辺己実夫さん(左から)
稀に見る人格者

牛久市田宮町の中国四川料理店「甲子亭」マネージャー・池辺己実夫さん(51)は、二十数年前に地元青年会議所が開いた「わんぱく相撲」に出場した当時小学5年生の萩原少年を今でも鮮明に覚えている。

池辺さんが見た第一印象は、「ずいぶんと体の大きい子だなぁ」だった。萩原少年はその大会で見事優勝し、両国国技館で開かれた全国大会にも出場したが、並みいる強豪を前に成績は振るわなかった。数年後、四股名が「萩原」から「稀勢の里」に変わったころ店で開かれた激励会の会場で偶然再会。驚いたことに「池辺さん、覚えていますか?」と先に声を掛けられた。

池辺さんが特に思い出深いのが2011年の11月場所。初日から4連勝したあと連敗し、14日目に10勝目を挙げて10勝5敗とし大関昇進が決まった。この時は場所前に鳴戸親方が急逝。突然の出来事に満足なけいこもできなかった中での「10勝5敗」には価値があると分析した。また、先場所12日目の横綱・日馬富士戦が印象深い。取り組みの前に土俵の外で腕組みする白鵬を真っ直ぐ見据え、「お互い全勝で相まみえましょうと言っているような目つきでしたよ」と池辺さん。

そんな勝負師も家族や付き人と食事に来る時は自ら進んで皿を取り、同席者に食事を振る舞うなど気配りを怠らない。そんな姿をたびたび目撃し、「魅力はいろいろあるけど、やっぱり稀に見る人格者だという点が一番ですよ」と池辺さん。真剣勝負を終えた後の控えめなコメントや、大関昇進伝達式での「大関の名を汚さぬよう精進します」という飾らない言葉に「いつも夢をありがとう」という気持ちになるという。

◇   ◇   ◇


稀勢の里の勝利で「街が盛り上がる」と宮本敏徳さん)
「希望の星なんだよ」

今年に入り1月場所、3月場所と10勝5敗だったが、迎えた5月場所では初日から破竹の13連勝。圧倒的な強さで白星を積み上げているころ、牛久市牛久町で備長炭焼「旬彩や」を営む宮本敏徳さん(38)は、「これは地元住民として自分も何かしなければ」と興奮を抑えられなかった。

5年前に牛久市観光協会の主導で発足した「稀勢の里応援団」には市内の商店32店舗が加盟し、カッパののぼり旗を掲げる宮本さんの店もその一つ。

これまで商店街の人々とさまざまな応援活動に携わってきたが、本人と初めて会ったのは先場所前に友人らとふらりと店に来た時だった。商売柄大物のスポーツ選手が来店することは少なくないが、プライベートと心得て普段はあまり声を掛けることはない。しかし、大関が来た時は近所に熱心なファンがいることを思い出し、恐る恐る写真撮影を希望すると「嫌な顔一つせず快く引き受けてくれたんですよ」。

そんな出来事があってワクワクしながら迎えた5月場所の直前、宮本さんは風しんに感染。起き上がることもできずに8日間寝込み、ようやく回復してテレビをつけると、そこには連勝街道を突っ走る稀勢の里の姿があった。

地元出身、しかも久々の日本人力士優勝にあと一歩と胸が高鳴り、いてもたってもいられず関係者と優勝パレード用のオープンカーや特別セールなど準備について話し合った。「可能な限りの人脈を使って何かできることをしなくちゃと必死でした」。

結局、優勝は逃したが落胆はしていない。むしろ「商売が厳しい中小・零細企業のわれわれにとって、稀勢の里関は希望の星」だと思った。7月場所で良い結果が出れば、また忙しくも張りのある日々がやってくる。

◇   ◇   ◇


「場所中はテレビに釘付け」という葉梨修さん
あたたかい気遣い

稀勢の里が龍ケ崎市立松葉小学校に入学したのは1993年(平成5)。当時教頭だった葉梨修さん(68)は、ニュータウンから通う500人超の児童の中でも「寛はほかの子よりも頭一つ半は出ていた」と懐かしむ。

気が優しくて力持ち―。特に道徳の授業での友達思いの発言が印象深く、2年生の時の担任は「あなたは将来大物になる」と褒め続けた。葉梨さんは数年で松葉小を離れたが、寛がわんぱく相撲で頭角を現したと風のうわさで聞いていた。

離任から10年ほど経ったある日、かつての教職員で会合を開いた。ある教師がスポーツ新聞を手に葉梨さんに声を掛けた。「先生、いま萩原君がすごいんですよ!」。紙面には幕下優勝し十両に上がった「萩原」の記事があった。

そこで、30人ほどの教師らで「稀勢の里松葉小学校教職員の会」を立ち上げ、事務局長に就任。以来、初場所の後に牛久沼近辺で欠かさず激励会を開いている。会合であいさつするかつての「萩原寛」は番付を上げるたびに人間性も一回り成長していた。また、先代の鳴戸親方が「稀勢の里は素直である。そして努力家である」と話していたのに感銘を受け、教員の前で話すときにはそのエピソードを語った。

そして、好成績の場所でも振るわない場所でも、必ず場所後に両親に電話を掛け「今回の10勝は立派だったよね。また来場所頑張ろうよ」と言葉を交わし、後で本人に伝えてもらう。そんなあたたかい気遣いが郷土力士を支えている。

◇   ◇   ◇


竜ケ崎みどり幼稚園で園児らとふれあう稀勢の里関
先生、あとでね

常磐線佐貫駅からほど近い住宅街にある竜ケ崎みどり幼稚園は、稀勢の里関が2年通った場所。開園当初から園長を務めた秋山治子さん(73歳、現理事長)は、卒園記念の集合写真が掲載された記念誌を広げ、「寛は何と言っても体が大きかったよね」と30年来の同僚職員らと記憶をたぐり、目を細める。

一つ違いの姉と一緒に入園した当時の稀勢の里は、とにかく昼寝が嫌いで外遊びに熱中し常に動き回っていた。給食をよく食べ、異年齢のクラスにあって常に友達が周りにいた。

「でも、決してガキ大将ではなかったのよ」と秋山さん。体は大きくても皆と仲良くする姿が目に焼きついているという。土俵に上がる真剣な姿を見ても「やっぱり子どものころの寛を思い出しちゃうのよね」。

小学校に上がってもときどきふらっと遊びに来ては保育士たちとおしゃべりし、夏に開くお泊り保育「むぎの会」には小学6年生まで毎年欠かさず参加していた。「時には家や学校で言いにくいこともあったでしょうが、ここでは素直な自分でいられたのかもしれないね」。

今でもお忍びで幼稚園を訪れることもあるという稀勢の里は子どもたちに大人気。気さくなその姿に子どもたちも「将来はお相撲さんになる」と目を輝かせ、「僕が稀勢の里をやる」「私が行司をやる」など相撲ごっこで大はしゃぎ。

相撲中継が始まっても仕事第一でテレビは見ないという秋山さん。「結果は気になるけど、次の日子どもたちに聞けばそれでいいのよ」。

◇   ◇   ◇

6月8日、牛久市内で開かれた稀勢の里郷土後援会総会・激励会には関係者ら150人以上が詰めかけた。

郷土後援会会長代理の池辺勝幸牛久市長が「7月場所での活躍を地元の牛久市民だけでなく、日本中の相撲ファンが待ち望んでいます。ますます精進し、心技体のより一層の充実を図り、悲願の優勝を果たすことを郷土後援会一同心から願っています」とあいさつすると、先場所を振り返り「あと一歩届かなかったが自信がついた場所になった。来場所は心身共に鍛えて良い結果を報告できるよう頑張るので、応援よろしくお願いします」と力強く語った稀勢の里。

激励の花束を手渡し壇上を下りる秋山さんに、耳元で「寛」がささやいた。「先生、後で必ず遊びに行くからね」。

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