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2013年5月13日(月)

ワクワク感を手づくりで

ワッヘンフィルムスタジオ代表 飯塚 貴士(いいづか たかし)さん

手づくりの人形を使った手づくりの短編映画が注目されている飯塚貴士さん(牛久市、27歳)は、大学でデザインを学んだ後「自分が打ち込めることを見つけたい」と就職をやめて映画づくりを模索した。資金も人手もなく、あるのは親友と温めた夢とアイデアだけ。アルバイトで資金を稼ぎ、小さなスタジオで製作するその作品はやがて県内外の賞に輝き、都内でも上映。どこか懐かしく新しい作品が子どもも大人も魅了する。


「アニメと実写の中間を生み出したい」と飯塚さん

一人っ子で育ち、小さいころから絵を描くのが好きだった。子供心に将来は漫画家かイラストレーターにと考えたが、中高でアクリルや油絵を描いて次第に自己表現にひかれ、大学ではデザインを専攻した。

「限られた中で自分のカラーを出してみたい―」。そう思って進学したはずが、授業が進むにつれ違和感が増した。

「何をやってもしっくりこない。いったい自分に向いていることって何だろう」。

居場所がないと感じて落ち込む日々が続き、周囲で就職活動が始まるとさらに気持ちは揺れた。そして、親に出した答えは「打ち込めることを見つけたい―」。それがいつになるのか自分でも分らなかったが、親は「自分の人生、好きなようにやって自分で責任を取れ」と息子を信じ、見守ってくれた。

◇   ◇   ◇

「自分が好きなこと、わくわくすることは―」。

自問自答する中で見えてきたのは、小さいころにテレビの再放送やビデオで見た「サンダーバード」「ひょっこりひょうたん島」など人形を使った特撮番組。もちろん「ウルトラマン」も大好きで、それを真似て部屋の電気を消し一人で人形遊びをした記憶がよみがえった。

「あの楽しさを映画にできないだろうか」。そんな気持ちを幼少期からの親友と共有し、まずは勉強と情報収集からと大学3年ごろから週末は映画を観て朝まで構想を練り、古本屋で映画作りの手引き書を探して読みあさった。4年になって映画作りの準備に入り、資金を折半して「ワッヘンフィルムスタジオ」を設立。アルバイトで貯めた資金でプレハブ小屋や機材を購入し、親友が脚本を手掛け自分は撮影技術を練った。

◇   ◇   ◇


小さなセットから壮大な物語が生まれる

目指したのは時代に逆行する手づくり感。昔ながらの職人技術がCGに変わる時期を見て育った感性を生かし、若い人には新鮮で、年配者にはどこか懐かしいワクワク感のある作品にしたいと工夫した。

登場する人形は高さ15センチほど。一つ一つ樹脂粘土で原型を作り、シリコン型を取って固め絵付けする。日本人の設定でも顔や体つきが外国人なのは「文化の違和感が好きだから」。人形以外に紙を切り抜いた人や動物もいて、背景には自分で撮影した地元の風景や町並みの写真を使うなど一見「子どもの手づくり工作」にも見えるセットが、いざ映像になると人形に命が宿り建物が崩れればほこりが立ち火花も散るなど迫力満点。撮影場所はプレハブ小屋の作業場兼スタジオ。撮影用の小道具が混在する一角で人形を操り、カメラを回し、せりふを加え、編集する。

残念ながら親友はほかに仕事を得て離れたが、途中まで一緒に製作した記念すべき第1作「ブルーインパルス」は丸1年がかりで2008年に完成。ふかや・インディーズ・フィルムフェスティバルやドリームボックス・フィルムフェスティバル(2010)などで上映された。その後、一人になって映画作りを続けるかどうか悩んだものの、2011年には「ENCOUNTERS(エンカウンターズ)」を完成させ、これが第15回水戸短編映画祭で準グランプリ、福岡インディペンデント映画祭ムービー部門グランプリ、福井映画祭・田中光敏監督賞、ひろしま映像展2012企画脚本賞など各賞に輝き一躍注目を集めた。

◇   ◇   ◇

「作品が評価されてすごくうれしいんですが、製作協力やアドバイスなど新しい出会いもうれしいです」

最新作「NINJA THEORY」はそうした出会いから人形作りや音楽、せりふなどにプロが加わり、より磨きの掛かった作品に仕上がった。それでも「あくまで泥臭く手づくり感が見えるオリジナリティーを大事にしたい」と思っている。

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