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2011年12月5日(月)

シリーズ・老舗の極意(1) : 父から受け継ぐ郷土の酒

田中酒造店 15代目・小川 せいこさん / 杜氏・小川 貴由さん

江戸時代前期創業の蔵元・田中酒造店(取手市)は、7年前に14代目が急逝しのれん継承の危機に直面した。しかし、次世代へ希望をつなぎたいと娘の小川せいこさん(42)と夫・貴由さん(42)が15代目として歴史を引き継ぎ、二人三脚で代々の製法を守りながら、地酒「君萬代」を取手の米と水、風土で育て上げる。


「取手に田中酒造店あり、茨城に君萬代ありといわれるようになりたい」とせいこさん(中央)、貴由さん(左)、社員の浅野香保里さん

14代目・田中栄二さんが突然病気で倒れ、約半年間の闘病後80年の生涯を閉じた2004年11月、創業356年の歴史を誇る田中酒造店は岐路に立った。

出荷量に対し高過ぎる製造原価や従業員の確保、杜氏の高齢化・減少化への不安など問題が山積みで家族は途方に暮れたが、14代目までは蔵元というより蔵のタニマチ(後援者)。蔵を預けた杜氏に口出しせず「おいしいものを造ってくれ」とすべてを任せていた。

この年も当主が亡くなる前に購入した酒米を岩手県の南部杜氏が仕込み、いつも通りの蔵の酒をファンに届けることができた。しかし「来年は―」。

継承者として先代の血を引く4姉妹が候補に上がり、専業主婦の傍ら実家の手伝いをしていた4女のせいこさんに白羽の矢が立った。せいこさんは99年冬の仕込みから杜氏の下で酒造りを学んでいたが、「いずれは上の姉の誰かが継ぐものと思っていたので、継がないのなら店をたたむことも考えていた」という。

30歳のときに大学時代に知り合った貴由さんと結婚。酒造りの技術を習得する一方で、家業の衰えも感じていた。姉や義兄の説得を受け、最終的に「実家がなくなるのは寂しい。次世代に良い形でバトンタッチしたい」と腹を決め、06年に15代目として再出発。製造全般を担う杜氏の貴由さんの協力で、途切れかけた歴史の新たなページをめくった。

人の手による洗米、米の外側を硬く内側を軟らかく仕上げる和釜蒸し、ふっくらとしてかむほどに甘さを感じ栗の香りがするよう10回以上手を入れて仕上げる室(むろ)での麹造り、酒母・もろみ造りなど昔ながらの製法を継承。「自分がうまいと思えばいい」とした14代目の酒造りを「自分がおいしいと思うから人にも勧められる」と、取手産の酒米「日本晴」を使用し伝統の中で進化していく酒の味を目指している。「店と蔵が歴史を途切れさせたくないという意思を持ち、選ばれたと思うようにしました。生き残ることへの執着と情熱が強い家系なのかも。お客様や働いてくれている人など、店を取り巻く人たちの心に支えられ守られています」。

◇     ◇     ◇


改築して軒を延ばした店舗

陸前浜街道の要衝として発展した取手宿の面影を残す取手市内本陣通りにある田中酒造店の酒造りは、江戸前期の1655年(明暦元)に始まった。

原料となる米、水、麹の選び方や造り方によりその酒蔵の個性が生まれるが、酒造りは気候や風土により米も水も自然の恵み。水に恵まれた取手の地は常総台地の東端に位置し、利根川の砂れき層を通過した豊富な伏流水と周辺に穀倉地帯が広がる地の利を生かした酒が、地域の人たちに飲まれてきた。

1884年(明治17)、牛久に向かう明治天皇が同店の井戸水でのどを潤し、その後飲まれた酒も称賛を受けて命名されたのが銘柄「君萬代」。昭和時代は戦争の影響による米や物資不足で酒造りができず、市内の多くの酒蔵が姿を消す中で不動産業や特定郵便局、料亭、居酒屋など別事業で支え続けた。日本酒を造れば売れた時代は、母屋と酒蔵にいつも人があふれにぎやかだったが、50年ほど前、市内に唯一残る酒蔵になった。

◇     ◇     ◇

地元で愛され、地元の人の誇りになれるようなブランドを目指し、日本酒ベースの梅酒や酒ケーキを開発したり、築150年以上の店舗2階をギャラリーにしてより親しみやすい酒蔵として地域に溶け込んでいる。「私たち夫婦は二輪車の両輪。老舗の暖簾を守って行きたい」とせいこさん。

 

 


 

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