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2011年7月11日(月)

「できない子」が命つなぐ優等生に

東日本大震災に出動したNPO法人日本捜索救助犬協会

被災地で行方不明者を捜す災害救助犬を育成するNPO法人日本捜索救助犬協会(江口タミ子代表理事)は、東日本大震災の翌日から宮城県気仙沼市で捜索に当たり、23人の隊員のうち茨城からは二人が出動した。人の役に立ちたい、犬のしつけをしたいなど隊員の参加動機はさまざまだが、厳しい訓練や現場での活動を通して犬と飼い主が共に成長し、消えそうな命の発見に全力を注いでいる。


汚泥とがれきが行く手を阻む(気仙沼市)

大震災の翌日から「生存の確率が高い72時間以内の捜索」を念頭に、隊員4人と救助犬7匹が各々現場に向かった。

今回初出動した坂根正芳さん(60歳、つくば市)は自前で水と食料を用意し10時間かけて気仙沼にたどり着いたが、集合場所の建物は跡形もなく相棒のアジュガ(エアデールテリア)も海水が混じった泥に悪戦苦闘。14年のキャリアを持つ小原隆さん(54歳、つくば市)も、極端に足場の悪い現場で「犬が捜索に集中できたのは非常に短かった」と振り返る。

加波山での訓練中に拾った雑種のマックは、汚泥に阻まれ3時間で50メートル進むのがやっと。津波に飲まれて横たわる遺体や主のいない廃屋で帰りを待つチワワを目にし胸がつぶれそうになった。それでも、まだ生存者がいるかもしれないというわずかな希望を胸に「72時間」を超えて捜し続けたが、6日間で見つかったのは11人の遺体だけだった。

災害救助犬は、遺留品を手がかりに行方不明者を捜索する警察犬と違って、食べ物や植物、人の体臭、他犬のマーキングなどあらゆる浮遊臭(生活臭)から「見えない人間の臭い」だけをかぎ取って生存者を発見し、指導手(ハンドラー)にほえて知らせる。

毎週末行われる訓練では、他犬の捜索の邪魔にならないよう事前に必ず排泄を済ませ、がれきの上を歩かせることで足元の恐怖に慣れさせる「ガラ歩き」から始める。暗く細い迷路をほふく前進で進む座屈(ざくつ)訓練や、死臭に似せた化学薬品を水に溶かして捜す訓練はいつも一日がかり。

関東近県の訓練所を毎日のように飛び回り指導を行うNPO代表理事の江口タミ子さん(65歳、埼玉県久喜市)は、新潟県中越沖地震や岩手・宮城内陸地震、岐阜県可児市豪雨災害など数々の現場に出動しているベテラン。現在のパートナーは、行方不明になったうつ病患者を発見し埼玉県警に表彰されたシェパードのレディとユッタだが、初めて飼ったのは雑種の捨て犬だった。

14年前の台風の夜、車の下で震えていた犬を保護した。あの手この手で飼い主を探したが結局見つからず、皆に愛されるように「愛」と名付けて飼うことにした。その後、新聞で知った訓練所でしつけを行ったが、訓練のレベルが上がるにつれ遅れを取るようになり「雑種には無理」と一蹴された。

捨てられたショックか過去にいじめられた経験からか、「愛ちゃんほえてごらん」と何度指先を口に当てても、時折のどの奥から蚊の鳴くような声がするばかり。ほえない救助犬は使い物にならない。「ウチの子はやっぱりだめなんだって何回もあきらめそうになったけど、この子を一人前にするんだ、負けるもんかって、泣きながら訓練に通いましたよ」。

◇     ◇     ◇


今回出動した隊員たち。左から小原さん、江口さん、坂根さん、阿久津博子さん

「よーし、臭い取ったぞ。捜せ、行けっ!」。6月下旬、つくば市内のがれき置き場で行った訓練で江口さんの掛け声が飛んだ。

指導手は救助犬の尻尾や鼻の向き、風向きや臭いの進路に注意を払いながら少し離れた場所でじっと見守る。無事に生存者役(ヘルパー)を発見してほえると飼い主の表情もほころび、褒美を与えられた犬と喜びを分かち合う。そんな光景に、訓練中厳しい表情を崩さない江口さんも「出来の悪いわが子」を思い出し口元が緩む。

苦労して初めて救助犬に育て上げた愛。拾ったとき段ボールを食べていたリュウは当初自分の枯葉を踏む音にさえ驚く小心者だったが、後に天性の鼻の良さで周囲を驚かせた。そして、亡き恩師の愛犬でレディの母犬でもあるアリス。皆不幸を背負い、成長後も「品がない」「落ちこぼれ」「適正がない」とけなされたが、どんな犬にも欠点があり長所がある。

「そんな犬たちを個々の性格に合わせた育て方で良いところを伸ばすのが飼い主の役目」と江口さん。「今まで被災地で活躍してきたのは、みんな欠点のある子たちだったんですから―」。

 

 

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