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2010年6月14日(月)

天まで響け!! おじちゃんが遺した郷土のリズム

故・渡辺 正武さんと田宮囃子保存会

土浦市の田宮地区に室町時代から伝わる「田宮囃子」を30年以上にわたって集落の子どもたちに教えてきた渡辺正武さんが、去る4月81歳で永眠した。青年時代に村の仲間と保存会を発足し、口承でけいこを重ねながら節目節目に披露する田宮囃子はいつしか村民の結束を固め、子どもたちの教育の場にもなった。その要にいた渡辺さんの旅立ちで、集落はまた新たな一歩を踏み出した。


去る5日の練習風景。「みんな上手になった」と、矢口さんも笛の名人(左奥)

「もしもの時はお囃子で見送ってくれな―」

渡辺さんと「なべさん」「しゅういっちゃん」の間柄だった田宮囃子保存会会長・矢口修一さん(75)が冗談交じりで話していた約束を果たす日が来たのは4月半ば。急な別れに集落中がショックを受ける中、矢口さんの号令でお囃子メンバーが出棺前の渡辺さん宅に駆け付けた。「おじちゃんのおかげでこんなに上手になったよ」と、子どもたちも涙ながらに7つのお囃子を演奏し、最後は渡辺さんが一番好きだった「帰り囃子」で送った。その物静かで情緒ある笛の音色が、深い悲しみに沈むのどかな農村集落に響きわたった。

田宮囃子は室町時代、田宮地区の梶ノ宮神社に奉納されたことに始まり、江戸時代中期に現在の哀愁漂う独特のリズムに発展した。戦中・戦後の混乱期は途絶えたこともあったが、1954年(昭和29)に同地区の郷土史家・伊藤三雄さん(93)ら当時の青年たちが保存会を結成し、渡辺さんや矢口さんも一緒にお囃子の復活に尽力した。「田宮囃子」は村に伝わる7つの囃子の総称で、大小の太鼓と大小の鼓、笛で構成され鉦(かね)がないのが特徴。特に唄と踊りが付く「疱瘡(ほうそう)囃子」は全国でも珍しく、77年(昭和52)に県の無形民俗文化財に指定された。それを機に後継者育成に使命を燃やした渡辺さんらは好奇心旺盛な子どもたちに目を付け80年以降は同地区の小学生全児童に手ほどき。母親たちも疱瘡囃子を踊るのが地区の伝統になった。


昨年の県郷土民俗芸能の集いでステージに立った渡辺さん(左)

音律やリズムを記した楽譜がないため、昔と変わらず口から口、耳から耳への伝承は指導者も子どもも根気がいるが、何事もとことん追求する渡辺さんの指導は厳しくも温かく、上手にほめながら力を付けさせた。やる気のある子どもは練習日以外も渡辺さん宅を訪れ、「子どもらに頼まれるとどんなに忙しくても仕事そっちのけで教えていました」と妻のゆきさん(79)。自分の子や孫のように分け隔てなく愛情を注ぐ渡辺さんはいつしか村の重鎮となり、少しでも気になる子がいると電話で自宅に呼んでできるまで特訓したり、太鼓のバチを手作りして一人ひとりにプレゼントした。そのかいあって、85年には当時小学生だった村の子が「関東郷土芸能お囃子コンクール」でベテランの大人を退けて金賞を受賞。村中に大きな自信をもたらした。

子どもたちは小学校卒業と同時にお囃子も卒業するが、矢口さんが会長になった8年前、渡辺さんの孫・貴浩さん(25)がお囃子に復帰したのを機に若手有志が集まって青年部が発足。笛の名人だった渡辺さんは、特に難しい笛の指導に力を入れ、まとめ役の飯村香織さん(42)を中心に青年部全員が全楽器を演奏できるよう仕込んだ。さらにお囃子は集落の人々のきずなを深め、保存会のメンバーも本当のおじいちゃんのように子どもたちから慕われている。「だから田宮囃子が途絶える心配はないね。集落で守っていこうって皆がそう思っている」とメンバーたち。

現在、少子化の影響で集落の児童数は約10人、青年部は学生や主婦など15人、保存会は6人中4人が70代で発足時のメンバーは矢口さんだけになった。それでも斗利出(とりで)小学校運動会や沢辺地区・日枝神社の流鏑馬祭りなど地元の行事や「茨城県郷土民俗芸能の集い」に出演するほか市内の老人施設職員への指導など活動は盛ん。毎年7月の最終日曜日に行う田宮の祇園祭を間近に控え、去る5日には渡辺さん亡き後初の練習会を行った。いつもの定位置に渡辺さんの姿はないが、「おじちゃん」に教わったお囃子はこれからも集落に響き続ける。

 

 

 

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