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記事配信 [2008-01-29]
 

イタリアと日本をつなぐおいしいレシピ

トスカーナ料理研究家 アモロソ・フィリッポさん

土浦市のアモロソ・フィリッポさん(38)は、イタリア・トスカーナ料理研究家として、公民館での料理普及講座をはじめ語学教室や講演など幅広く活躍。食を通じ、イタリアと日本の文化交流に務める取り組みは、来日5年にして早くも大きな広がりを見せている。


1月15日、レストランの厨房でパスタ生地の説明をするフィリッポさん

その日教えたかったのは、日本でいうピザではなくイタリアのPIZZA(ピッツァ)。「なのに、肝心な粉を忘れて取りに帰ったから朝から大変」と、教室に戻った妻・アモロソ加藤亜矢子さん(38)は厨房着の袖に腕を通しながら一息。すでに親子料理教室が始まっているつくば市ふれあいプラザから、自宅のある土浦市までは距離がある。しかし、往復の労をいとわず持ち帰った粉は決して特別なものではなかった。

日本の大手製粉メーカーのその粉は大抵のスーパーで売られているものだが、「簡単に手に入る材料とその場にある調理器具で料理する」ことこそフィリッポ流。調理室を元気いっぱい駆け回る子供たちにてこずりながらも楽しかった親子教室。焼き上がった本場の味に、「おいしい」と喜ぶ参加者の笑顔でやっと一息つく。それが十分次回の糧になる―。

二人が地域の公民館などで料理講座を始めたのは、料理を通して本当のイタリアの姿を知ってもらおうと思ったからだ。テレビや雑誌で紹介されるイタリアは、実際と全く違うとまでは言わないが、一部分だけを強調し脚色した「イタリア」になりがち。「朝からスパゲッティは食べないですし、レストランのメニューのように油をたくさん使った料理ばかり食べているわけでもない。でも結構知らない人多いみたい」。

実際の食生活は質素で素朴で、それでいてこだわりのある家庭料理。故郷・フィレンツェ、トスカーナ地方にはそんな料理がたくさんある。

料理好きの父から学んだレシピを日本人に教えたいと思ったのは、亜矢子さんと結婚した02年、故郷を離れ日本行きを決意した時からだ。「僕には姉がいるけど、亜矢子は一人娘。両親さびしがるでしょ」。結婚後の来日から今月で丸5年。トスカーナ料理研究家としての知名度は、今やプロの厨房にまで広がりを見せている。

親子教室から3日後の1月15日、フィリッポさんはつくば市二の宮にあるレストランの厨房にいた。共通の知人を介し知り合ったオーナーから依頼された講習会はその日が初日だった。参加したのは調理スタッフ二人とホールスタッフ3人の計5人。平日は会社勤務で亜矢子さんは不在だが、日本語に不自由はない。

教えるのは、平太のパスタと豚バラ肉のトマトソース煮込み、車エビの白ワイン煮の3品。休日の和やかさといつも以上の緊張感が混在する調理場では黙々と料理が作られた。二人の若いシェフたちはフィリッポさんの手元をじっと見つめる。肉が煮えるまで、フロアに移りテーブルマナーの説明を始めたが、参加したホールスタッフは言う。「パスタはフォークでしか食べないといっても、日本では多くの方がスプーンを併用されます。ご高齢のお客様は箸を使われますし、スプーンやフォークの配置にしても、団体のお客様が来店した際など状況次第の場合もあります」。イタリアと日本のテーブルの考え方に温度差があることは否めない。

◇    ◇    ◇  

「日本に来て思うこと…。まず私の隣りには誰も座らない」。来日当初、電車に乗っていつも感じたのは疎外感だった。イタリアでは知らない人同士でも世間話は当たり前なのに、日本人は誰とも話そうとしない。昼間の喫茶店はママさんたちの憩いの場。一人ポツンとコーヒーを飲まなければならなかった寂しい時期、人と話せないフラストレーションは募った。だから必死で日本語を覚えた。イタリア語だけだった夫婦の会話に日本語が交じり始めた最近は、日本人のシャイな気質や文化も少しずつ理解できるようになった。

「料理教室でも最初質問ないのは当たり前。だからこっちから話しかけていく。イタリアと日本のテーブルセットが違うのも、レストランは日本人に合ったスタイルでやることが絶対。でも、イタリアの場合を知ってるのと知らないのでは全然違うでしょ? そこを教えたいんです」。


1月12日、親子料理教室の後片付けをする妻・アモロソ加藤亜矢子さん(左)とフィリッポさん

遠く故郷と家族から離れ、日本になじもうと努力する夫を、「何とか仕事の基盤ができるまでは」と支え続けてきた亜矢子さん。平日の勤務を終えた後に夫と仕事の構想を練り、週末は料理や語学教室などへ向かう。休む暇もないが、「私にとってはそれこそ楽しいひととき」。家族を大切にすること、食を大事にすること、夫と出会わなければ気付かなかったたくさんの幸せが今は暮らしの中で見つけられる。

「日本人がいつしか忘れてしまったことがイタリアにはあるような気がします。フィリッポの料理でそんな文化の香りを感じていただけたらうれしいです」

文化も違えば歴史も違うイタリアと日本。しかし料理を通じ、より深く相互理解を図ることがフィリッポさんの願い。今年からは筑波学院大学の講師など、新たな仕事も始まる。「文化を教えますが、そこでもたまに料理を教えたい」。国は違えど、おいしいと思う気持ちは一つだから―。

 

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