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[2007.01.04 up]
 

タンチョウと暮らす

日本画家の藤島博文さん

「鶴は千年 亀は万年」のことわざにあるように、タンチョウ(ヅル)は古くから長寿を象徴する縁起物として親しまれ、慶事に欠かせないシンボルの一つ。その優雅な動きと気品ある姿に魅せられ「自分ならではのツルを描きたい」と自ら2羽のタンチョウを飼育している日本画家・藤島博文さん(つくば市在住、65歳)は、3年前に美術館を開館。めったに見ることのできない貴重な姿を間近で観察できると人気を集めている。


「鳴いて」の声で天に向かって一緒に鳴き声を上げるさくらとふぶき

古来から瑞鳥・霊鳥として人々に親しまれてきたタンチョウは、特別天然記念物に指定される絶滅の危機にある貴重な鳥。頭頂部に丹(赤いという意味)があることからその名が付けられ、日本画にも数多く描かれている。

藤島さんがタンチョウを飼い始めたのは18年前。画家を夢見ながら戦死した叔父の描いたツルの絵を見て以来、いつか自分も―と思い続けていた。

そして「生き物を描くには生態を知ることが第一」と、飼育に必要な登録や手続きを済ませ中国の動物園から生後1年のタンチョウを譲り受けた。

さくら(メス)とふぶき(オス)と名付けられた2羽のタンチョウは、これまで幾度かけがや病気で生命の危機もあったが、その都度添い寝をしながらの献身的な看病で乗り越え、体高約1.5メートルに成長。今では藤島さんの「鳴いて」のひと声で「クァッ、クァッ」と鳴き声を上げるほど慣れている。

「子供のころから生き物が好きで飼える生き物は何でも飼っていました」

農家の長男として徳島県に生まれ、幼いころからさまざまな生き物を観察しては絵を描いていたという藤島さん。家の中には祖父が趣味で集めた掛け軸やふすま絵、美術品なども多くあり、それらを模写するのも楽しみの一つだった。

「周りの大人からずいぶん褒められましたが、当時は画家になろうなんて思ってもいませんでした。画家が何なのかもよく知りませんでしたから」。それでも高校在学中には3年連続県展に入選。親の勧めで武蔵野美術大学を受験し合格したが「両親に負担はかけたくない」と入学を断念し、上京して仕事と絵画の勉強を始めた。

給料のほとんどを絵の具代に充てる生活は苦しかったが「いつか両親に孝行したい」と歯を食いしばり、30歳の時に日展に初入選。その後15回の入選を果たし、うち2回は特選を受賞するなど努力の成果が実を結び、各地で個展も開催。3年前には「アートサロンつくば鶴の里美術館」を開設し、講演や執筆活動も加わり多忙な日々を送っている。


タンチョウの姿を描いた作品の前に立つ藤島さん

もともと絵を描くために飼い始めたタンチョウだったが「気高さを目の前にしたら逆に描くことが怖くなった」と、自分流の表現ができるようになったのは5年ほど前から。羽の1枚1枚にツルへの愛情が込められた作品は、身近で観察してきたからこその力強さと優しさにあふれ、3年前に描いた「黄鶴図」(2メートル×2メートル)は内閣総理大臣官邸正面玄関に飾られるなど評価も高い。

鳥の中でもツルは特に夫婦の絆が強いといわれ、産卵時期は卵とメスを守るためオスが攻撃的になり、慣れていても容易に近づくことができないが「そのけなげさも魅力の一つ」と話す藤島さん。長年苦労して育ててきたツルへのあふれる愛情が絵に表れる。

※ アートサロンつくば鶴の里美術館 029(838)5559(つくば市谷田部4377)

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