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[2006.09.19 up]
 

自然は人生の道しるべ

ネイチャーツアーガイド 〜松田浩二さん〜

ネイチャーツアーガイドの松田浩二さん(46歳、つくば市)は、筑波山や宍塚の里山など県内の自然を中心にその魅力や素晴らしさを広めようと活動を続けている。趣味を仕事に変えるほどに魅せられた花鳥風月は、どれほど情熱を傾けても見飽きることのない無限の美しさ。そんな自然と向き合う日々に喜びを抱き、同じ喜びを分かち合える人が一人でも増えることを最大の糧としている。


捕獲網で捕らえてた赤トンボの種類を確認する松田さん

収穫間近の稲穂が、初秋の風に重く垂れたこうべをサワサワと揺らしていた。その音に驚いたスズメの群れは風の仕業とも知らず、電線で羽を休めながらキョロキョロと様子を伺っている。「スズメを見てスズメと分かるのはなかなかなんですよ」。素人には里山で目にする小さな野鳥とスズメの区別は難しいという。9月8日、土浦市宍塚の里山へ向かう道すがら、道端に生える草花に足を止めてはノートに書き留める作業を繰り返していた。

この日の調査は宍塚の自然と歴史の会(及川ひろみ理事長)が発行する「五斗蒔だより」で担当する「松田浩二メモ」の下準備。「雑草にしか見えないでしょ? でも全部に名前があるんですよ」。里山の入り口にも差し掛からないその場所から、早くもノートには植物の名前が続々と書き込まれていく。

筑波山や旅行会社のネイチャーツアーガイド、公民館の講師や自身が主宰する自然観察同好会の活動のほか、各自然団体から植物や昆虫、鳥などの生態調査の依頼も多い。

ジャンルを問わずオールラウンドの仕事は多忙を極めるが、「そのわりに生活はギリギリ」。しかし、大好きだった趣味を仕事に変え、自然を紹介できる今の生活には大きな充足感がある。「ツアーでは結局、自分自身が一番楽しんじゃっているのかもしれませんね」。

◇   ◇   ◇

子供のころから昆虫が大好きだった。名前を知れば知るほど面白くなり、夢中で捕まえては昆虫図鑑を広げた。やがてチョウがとまる花に目が移った。園芸種から野草に興味を持ち出してなお、知りたい欲求はとどまるところを知らなかった。趣味が広がったのは二十歳を過ぎて自然観察会に参加した時だった。「今でこそたくさんある観察会も当時は珍しかった。そういう会の活動に参加しているうちにのめり込むようになったんです」。以降、日本野鳥の会に所属し、その活動の中での多くの出会いが今日の礎(いしずえ)を築くことになるが、「自然観察はあくまでも趣味」。生活の糧はトレーニングジムでインストラクターの仕事だった。

健康運動指導士の資格を生かした仕事にはやりがいもあったが、自分自身で観察会を主宰しその活動時間が増すと次第に仕事との両立が困難になった。趣味が趣味の域を抜け出そうとしていながら、その一歩を踏み出すことができず悩む日々も続いたが、「もう年も取った。これから限られた時間の中で両方とも中途半端という状態にだけはしたくない。やりたいことを目一杯やらなければ悔いが残る」。独身の身軽さも手伝い思い切って会社を辞め、自然の仕事で一本立ちしたのは昨年5月だった。

「確かに会社員でいれば収入は安定しているし、これから先不安がないといえばうそになる。でも、それは後ろ向きな考え方で、こういう仕事に専念する人もなかなかいないじゃないですか。前向きに考えればいろいろな可能性があると思うんです」

◇   ◇   ◇

宍塚の里山では夏の終わりを惜しむようにアブラゼミとミンミンゼミ、ツクツクボウシが競って鳴いている。その間隙(かんげき)を縫うように鳴く鳥はシジュウカラとエナガ、コゲラにメジロ。違う種類の鳥が混ざって一緒に行動するのも秋からのこの時期ならではのものだという。その日はツリガネニンジンやワレモコウも咲いていて、一週間前より秋の足音もはっきり聞こえてきた。

「パッと見れば緑だけ。雑草にしか見えないかも知れませんが、そこには一つ一つに名前があって、実はいろいろな生物が存在する。名前を知った途端、急に身近に感じることってあるでしょ? そういう自然を知ってもらいたいし、これからもずっと伝えていきたいですね」

■ 問い合わせ
090(4728)4632/松田さん

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