健康な牛を育てることにとことんこだわる鈴木昇・ともえ夫妻自慢のヨーグルトは、口当たりがさわやかで牛乳本来の味がする。原料は同牧場の牛乳のみ。添加物や殺菌剤などは一切使わないためヨーグルト自体が健康そのもの。
「人間も食べ物から病気になるでしょ。牛も同じで良質な餌を食べれば病気知らず。だから良い乳が出るんです」と、ともえさん。まずは餌になる牧草が健康に育つよう21年前、土づくりに取り組み始めた。当初は牛ふんをそのまま畑に入れて土質改良を試み、窒素過多による病気や難産などトラブルもあったが、試行錯誤の末に良質な堆肥(たいひ)づくりにたどり着いた。
堆肥は牛のふん尿に木のチップや米ぬかなどを混ぜて発酵させ、3カ月ほどかけて熟成させる。臭みがなく甘い香りがするのは良質な堆肥の証し。労力もコストもかかるが、約4・5haの畑の牧草とトウモロコシは健全に育ち、結果的に牛乳もおいしくなり自信が付いた。「母牛は私たちの介助なしに仔牛を生みます。安産は健康な証拠です」と、牛を見つめる夫妻の目が優しい。通常、一頭平均2〜3回の出産でリタイアするが、同牧場は約5回も出産する。
そんな牛たちが出してくれる良質の牛乳を生かしたいと、ヨーグルト加工に踏み切ったのは4年前。牧場内の小さな工房で瓶詰めまでほとんど手作業で行う。牛にストレスを与えないよう搾乳量を調整して生産量を一日100リットルまでとし、無理なく「スローな牛飼い」に徹する。「成分無調整だから季節や牛のコンディションで酸味や甘味が変化します。私たちはそれを大事にしたい」。ヨーグルトはプレーンと加糖の2種。同牧場で直接購入できる。